毛利元就が必勝を願ったとされる神社で、老朽化したご神木の伐採が始まりました。地元の人たちは、幼いころから親しんだ杉の最期を見届けようと、朝早くから駆けつけました。

安芸高田市の清神社では、14日朝8時から、伐採前の神事が行われました。ご神木の大杉は高さ40メートルを超え、境内に5本そびえ立ちます。樹齢は700年以上。安芸高田市が指定する天然記念物です。
清神社は、毛利元就も信仰したとされ、毎年、Jリーグ開幕前には、サンフレッチェも必勝祈願に訪れています。
近藤志保 気象予報士
「もともと境内には6本の杉がありましたが、そのうちの1本が1999年の台風18号で倒されたということです」
26年前の9月、大杉の1本が高さ14メートルを残して折れました。当時、建物の損壊やけが人はなく、今では「身代わり杉」として神殿に根元が祭られています。残りの5本も老朽化が進み、この度、やむなく2本を伐採、3本の上部を切り詰めることになりました。樹勢が弱まり枯れてしまった枝は、作業員の手で簡単に折れてしまいます。駆け付けた地元の人たちは、それぞれ思い出を振り返ります。

地元住民(90代)
「かわいい、かわいい。お友達がいなくなるみたい。小さいころは4人で手をつながないと届かなかったけど、ちょっと大きくなったら3人で届くようになった」
地元住民(50代)
「よく遊んでいたのでさみしいですよね。ここでいつも必勝祈願してもらっているんですよ。(娘が)スポーツやってて。絵になるじゃないですか、それがなくなると悲しい」
娘は、カヌー・スラローム選手の岡﨑遥海さん。毎年家族で祈願に訪れ、去年はパリオリンピックに出場しました。
安芸高田市歴史民俗博物館 秋本哲治 副館長
「樹齢700年~1000年といわれていますから、おそらく毛利氏がここに入る前からある木なんです。元就も見ている杉っていうこともあって、安芸高田市の歴史を見てきた杉、非常にさみしい気持ちはありますよね」
清神社 波多野公一 宮司
「倒壊をしてしまってはいろんなところに被害が及ぶであろうと。そうなる前に人間の手を少し加えて整えさせていただこうと」
大杉の伐採は、17日まで、4日かけて行われます。