「悪いことをしていないのに後ろめたさも」現場の葛藤

9月20日、いよいよ配布が始まりました。原則は対面で世帯主に渡すことですが、国の指導と現場の実情には大きなズレがありました。
「昼間は留守家庭が多く、夜に訪ねれば逆に警戒される。結局ポスト投函せざるを得ないケースもあった」
インターフォンを押しても出てもらえないこともあり、声を掛けるタイミングや立ち去り方に悩んだといいます。結果的に大きなトラブルはなく、週末をかけて配布を終えました。しかし、「達成感よりも疲労感が勝った」と振り返りました。
■まだ終わらない作業
配布が済んでも、仕事は続きます。未回答世帯には繰り返し催促に行かなければいけません。
協力的でない住民の玄関先に立つと「迷惑だと思われないか」と後ろめたさも感じます。さらに、居住の有無を周囲に聞き込み確認することもあり、「どんな人が住んでいますか」と尋ねるのは気が重い作業です。
「人の出入りを見ているわけではないのに、何を聞けばいいのか。悪いことをしているわけではないのに後ろめたさがある」
男性は複雑な胸中を語りました。