去年、広島市のクリニック内で薬液を誤って入れ、塩素ガスを発生させたとして書類送検された臨床工学技士の2人を、広島地検は不起訴処分にしました。

警察によりますと、広島市の臨床工学技士で、当時作業をしていた女性(42)と責任者の男性(56)の2人は、去年9月2日、広島市中区のクリニックで、薬液を誤って混入し、塩素ガスを発生させ、職員や患者など47人に塩素ガス中毒などのけがをさせた疑いが持たれていました。

事故当時、女性は人工透析機の殺菌に使う次亜塩素酸ナトリウムが減っていたため、タンクに補充をしようとしていたところ、誤って酢酸を入れてしまい、塩素ガスを発生させたとみられています。

塩素ガスの発生で、当時クリニックにいた279人のうち47人が塩素ガス中毒などになり、うち17人は一時入院しました。現在は全員が回復しているということです。

広島地検はこの2人について、今月2日付で不起訴処分にしました。理由について、女性は「情状全般を考慮した」、男性は「送致事実を認定するに足りる十分な証拠がない」としています。