戦時中の色合いを復元した被爆電車も

広島電鉄の江波車庫(広島市中区)にも、被爆電車があります。
653号。車体は戦時中の色合いを復元しました。濃い青と灰色のツートンカラー。
社史の編纂にも携わり、広島電鉄の歴史に精通している藤田睦さんは「戦時中はやはり、地味というか、あんまり目立たない色を使われてたみたいです」と話します。

あの日を経験した電車は4両が現存しています。653号は、そのうちの一つで、1942年に造られました。
この653号は、原爆が投下された1945年末には、復旧し走り出していたといいます。
藤田さんは「そこからずっと現役。83年間動いている。それだけでも珍しい」と話します。

被爆2か月後の映像には、全焼し枠組みだけが残った電車の姿があります。藤田さんは、こうした車輌も修理し動かせるようにしていたと話します。
広島電鉄 藤田睦さん
「少なくとも、映像にある大型の車輌。これは600か650型。当時の最新型なので、こんな車両は絶対直していると思います。廃車にしたのは一台もないはずです」