広島と長崎…。被爆79年の夏に2つの街の大学生が、サッカーで交流しました。8月のこの時期は、サンフレッチェ広島もJリーグで核兵器の廃絶などを発信するピースマッチに取り組みます。同じ被爆地の大学で活動している大学生たちは、どんな思いで試合に臨んでいたのでしょうか。
午前8時、平和公園にやってきたのは、長崎大学サッカー部です。広島大学とのピースマッチを前に、原爆資料館を見学しました。原爆慰霊碑の前では黙とうをしました。

長崎大学 サッカー部 吉次晃史 主将
「原爆の悲惨さをものすごく痛感した。今、こうして何不自由ない生活を送れているということにまず感謝しながら、一生懸命プレーしたい」
長崎大学の田中監督は、被爆者の高齢化が進む中で新たな平和の伝え方を模索したといいます。
長崎大学 サッカー部 田中朴通 監督
「今回のピースマッチはあらためて平和の思いを祈りに込めて実施していきたい」
長崎大学は、この日のために新しいユニフォームをつくりました。また、背中には大きな折り鶴、腕にも「千羽鶴」のデザインが施されています。メインには、長崎にある平和祈念像の台座をイメージしているといいます。
長崎大学 サッカー部 田中朴通 監督
「今回は台座の部分をモチーフに作ってもらった。記念像の部分に関しては、わたしたちがプレーや表情で体現する」
試合会場の広島大学では、準備が進められていました。こちらは、試合前に両チームの主将が共同で行う、「平和宣言」の準備です。これまでオンラインで準備を進めてきていて、初めて直接合わせました。
広島大学 サッカー部 山邊樹 主将
「ぼくたちがサッカーできる環境は当たり前じゃないっていうことはまずは自覚して、そのうえでこうやって一生懸命できる環境があるので、全力でプレーして、平和への願いを発信するという形で全力でプレーしていけたら」

警察官だった祖父を原爆で亡くした広島大学の上泉監督。座学だけではなく、直接スポーツをしながら、五感で平和の意義を感じらることが大切だと話します。
広島大学 サッカー部 上泉康樹 監督
「長崎大学さんがわざわざ広島に来て、広島のわれわれとともに平和を願う気持ちを共有できるということで、体験型の学習ができることが非常に意義が深い大会になっている」