道路をずっと流れ続けた土石流 多くの利用者が甚大な被害受ける

今回は、道路沿いで発生した複数の土石流が道路を通り道として流れ下ったことで広範囲に被害が拡大しました。この結果に専門家も大きな衝撃を受けています。

広島大学 土田孝 教授(地盤工学)(当時)
「今回は土石流が道路の横から流れ出て道をふさいだという災害ではなくて、土石流が大量の水と土だったり流木だったりが道路の中に流れ込んで、道路を流路としてずっと流れ続けた。それによって道路の利用者が甚大な被害を受けたという、これまでにない災害」

当時を振り返って桐山さんは次のように話します。
桐山さん
「けっこうな雨は降っていたけど、これくらいないら大丈夫という気持ちで走っていましたが、実際、特別警報とか出ていたので、我が身のこととして受け止めてほしいし、私は助かった方でよかったと思う。」
川の護岸が崩れて道路陥没が相次ぐ 車ごと落ちて行方不明も

・7月7日朝
上空からのリポート
「国道2号線が陥没してしまっているのでしょうか、そして車がご覧のように横倒しになっています。」

西日本豪雨では川沿いの道路が陥没し、走行中の車が巻き込まれるケースも相次ぎました。
落ちるのを目撃した人
「道路の下が陥没して空洞になった。そこへ車が来てフワッとした形で落ちた」

広島市安芸区を流れる畑賀川沿いでは、道路が突然陥没。通りがかった母親と3人の子どもが乗った車が転落しました。2人は救助されましたが、11歳と6歳の姉妹が行方不明となりました。なぜ川沿いの道路は次々と崩れ落ちたのでしょうか。
広島工業大学 田中健路 准教授(気象災害学)(当時)
「川がまがっていて、カーブしている外側は水深が深くて少し流速が速い。その分だけ護岸にかかる力が強い。礫も混じって衝突する」

その結果、弱くなった護岸の中に水が流れ込み、内部の土砂が洗い流されて、上部の道路の崩落につながります。これは「洗掘」と呼ばれる現象で、川がカーブする地点や橋の下流などでよりおきやすいといいます。特に大きな河川よりも中小の河川の方が、危険性が高いと指摘します。

広島工業大学 田中健路 准教授(気象災害学)(当時)
「中小河川の方が大きなれきが混じって流れる割合が高い。川幅はせまくても単位面積あたりにかかる力やエネルギーは小さい河川でも大きい」