日本は加害者に甘く、被害者には冷たい社会と実感…

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この事件では、モンキーレンチで頭を殴られた息子が、意識不明の重体となりました。体に麻痺が残り、高次脳機能障害などで現在も入院中で、常に介護が必要な状態だといいます。

「息子の性格は、まじめで努力家です。商品の相場が日々変わるので、情報収集は欠かさずに勉強していました。接客の際は、お客様に誠実に対応し穏やかに接していました。

プライペートでは、ジムに週2回通い健康志向でした。また、多くの友人がおり、一緒に食事に行ったり、カープの試合を観戦したりすることが多々ありました。趣味としてテニス、山登り、釣りなども楽しみ、充実した日々を送っていました。

息子は、当初、意識不明で命が助からないかもしれない危険な状態が続きました。病院の医師、看護師、心理士、リハビリの方々のおかげで一命は取り留め、現在は会話が少しできるまで回復しました。これまで治療に関わってくださった病院関係者の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました」

一連の広域強盗事件では、借金返済などを理由に安易に“闇バイト”を手を出す若者や、この闇バイトを使って犯罪を繰り返すグループの存在が明らかになりました。被害者家族のコメントでは、「被害者に冷たい社会。被害者が安心して生活が送れる優しい社会になってほしい」と訴えています。

「日本は、加害者には甘く、被害者には冷たいとよく聞きますが、今回の事件で本当にその通りだと実感しました。加害者は、無条件で弁護士がつきます。加害者は、お金がないから強盗するのであって、そのような人に対して損害賠償を求めても支払われる確率は低いので、泣き寝入りするしかないのが現状です。

病院を退院した後の療養生活の場所については、施設も視野に検討しましたが、障害者施設は数が少ないうえ、若年という理由でさらに選択肢が狭くなり自宅を選択せざるを得ませんでした。

退院後、自宅で生活するための支援を受けるのも大変です。要介護認定の申請の対象は65歳以上であること、40~64歳の人は定められた特定疾病があることと決められています。よって、息子のような犯罪被害者は重度の後遺症が残っても、介護保険の対象にはなりません。

障害福祉サービスを受けるための申請は、複雑で家族は何度も役所に足を運ばねばなりませんでした。また生活するための必要な福祉用具もレンタルができないため、実費で購入するしかありません。補助金を受けるのも複雑な書類申請や手続きが必要で家族の負担は大きいと感じています。被害者の救援措置として社会福祉制度が改正され、申請書類や手続きの簡素化も含め被害者が安心して生活が送れる優しい社会になってほしいと願います」