去年、プロバスケットBリーグで悲願の日本一に輝いた琉球ゴールデンキングス。チーム運営の最高責任者である安永淳一GMに、これまでのチームの軌跡や新たな挑戦に挑む今年への思いを聞きました。
チームを作り上げた安永淳一GMが語るキングスの歴史
去年5月、激闘のチャンピオンシップを勝ち抜き、悲願の優勝を果たした琉球ゴールデンキングス。
かつてプロスポーツ不毛の地とも言われた沖縄から、日本一のクラブへと、上り詰めました。
琉球キングス 安永淳一GM
「やってきたことが間違いではなかったと、ただそれだけです。ロッカールームでいつも使う、言葉が自己犠牲というんですけど、誰かのために貢献しようという気持ちを強くプレーをする」
「徹底して実戦していったことが結果に表れて、本当に幸せでした」

琉球ゴールデンキングス、ゼネラルマネージャー・安永淳一さん。ゼロから日本を代表するチームを作りあげた17年間。さらなる高みを見据えて歩みだす2024年への抱負を語りました。
安永淳一GM(2007年球団発足時)
「はじめまして、ジュン安永というよりは、安永淳一なんですけども。毎週月曜日の朝は学校に行っても、会社に行っても、まずはキングスの話題でもちきりになるような熱いチームが出来たらなと」

アメリカのインディアナ大学に留学後、NBAニュージャージー・ネッツに就職した安永さん。バスケットボールのプレー経験こそありませんが、営業や、試合の演出など、12年間、世界最高峰の華やかな舞台で活躍しました。
そして2007年。新たに沖縄からNBAのような、スポーツエンターテインメントを目指してキングスの立ち上げメンバーに加わりました。
琉球キングス 安永淳一GM
Q沖縄に来た時から考えると、今の現状はどう映る?
「時間をかければここまで来られたと思います。ただこの17年ですか、おそらくキングスのようなスピードで急成長したというのは、他球団はうらやましいだろうなと思って、あれよあれよという間にここまで来た気がします。が、まだ17歳かなって言う感じもします」
2007年、当時のプロリーグ・bjリーグに参入したキングスでしたが、初年度の成績は10勝34敗と地区最下位。遠征のたび多額の費用がかかり、沖縄でプロスポーツを運営する難しさにも直面しました。
しかし転機が訪れたのは、翌年2年目のシーズン。

ジェフ・ニュートンや、アンソニー・マクヘンリーといった当時のスター選手を獲得したキングスは勢いにのり、一気にbjリーグを制しました。
琉球キングス 安永淳一GM
「最初で最後の一手しかなかったくらいの手で、ジェフ・ニュートン選手を獲得して、マクヘンリーも一緒に来てくれて、2年目下手すれば、上手くいってなかったら、間違いなくキングスなくなっていたんではないかと、3シーズン目はなかったんじゃないかというぐらい厳しい状況でしたので、よくここまで来た。本当に感謝しかないです」
”沖縄を元気に”をテーマとするキングスは、その後bjリーグで4度の優勝。
金城茂之や並里成、岸本隆一といった地元・沖縄出身選手の活躍もあり、ホームゲームは毎試合熱気に包まれる人気球団へと成長していきました。
さらに2016年、bjリーグと実業団NBLが合併した新たなトップリーグ・Bリーグが開幕すると、キングスはさらなる追い風に乗ります。
能力の高い外国籍選手に加え、日本人選手も成長を見せ、前人未踏の西地区6連覇。そしてついに、昨シーズン悲願の日本一と右肩上がりの成績を残しています。

その人気の高さを表しているのが、ホームゲームへの入場者数です。
2020年に完成した沖縄アリーナは、毎試合ファンの熱気に包まれ、キングスは昨シーズン、ホームゲームに27万人を動員。
Bリーグで唯一、入場料収入が10億円を超えました。

琉球キングス 安永淳一GM
「沖縄とバスケットボールというのは本当に長い歴史があって、その世代、その時代に合わせて、バスケットボールが沖縄のカルチャーの一つになってきたのかなとは思っております。最初は育つことに精一杯で、自分のことに精一杯だったかもしれないですけど、これからのキングスは本当に沖縄と言えば、琉球ゴールデンキングスだと言ってもらえるように、成長していけるのではないかなと期待は大きくもっております」
ワールドカップでの日本代表の活躍もあり、全国的にも熱が高まっているBリーグ。中でもキングスは、目指しているBリーグ2連覇という目標だけでなく、沖縄県勢として初の天皇杯優勝、さらにその先の世界にまで視野を広げ、新たな1歩を踏み出そうとしています。

琉球キングス 安永淳一GM
Qこの1年の抱負は
「常に『僕たちはもっと出来るようになれる』と思うことが大切だと思っています。その昔、歴史の本を読めば、沖縄が交易の中心であったような、北、東だけを向いて動いているのではなくて、360度を向いて活動をしていた沖縄、琉球っていう歴史にもオーバーラップさせて、我々が沖縄を背負って、世界に、少し偉そうですけど、世界に出ていくぞっていうぐらいの気概、意気込みを持ってチャレンジをし続ける、失敗の先には成功が必ずあると信じて、成長し続ける1年にしたいと思います」
1月12月からは、Bリーグのオールスターゲームも開催される沖縄。琉球キングスを中心に沖縄バスケ界がさらに盛り上がる1年になるよう期待が集まります。