打越さんはその反省会もすべて記録していました。そんなまじめなフィールドワーカーだった打越さんが、未発表の原稿を残していたことを、上間さんは知っていました。
1年後の命日に出そう

出版社や先輩の社会学者も協力しました。そして、打越さんの遺稿を出すなら自分も机に向かわなくてはと、文庫化を決意したのでした。『沖縄社会論』には、上間さんも解説を記し、文庫本『裸足で逃げる』とともに、彼の命日に同時に出版されました。
今、どちらも沖縄随一の書店で売上トップ10に入るほど、注目を集めています。
「同じタイミングで、打越君の命日に(本が)出たので、それは良かったかな」
かつて、街灯が照らす夜道を表紙にまとって出版された『裸足で逃げる』。
執筆から10年を経た文庫本の表紙は、木々のなかで光があふれるものへと変わりました。幾重にも重なる暴力の上にあっても、明るい未来を作る。自身を奮い立たせ奔走する上間さんの決意を感じました。








