浦添市の研究チームが、人体への有害性が指摘されている有機フッ素化合物=PFASの一種・PFHxS(ピーエフヘクスエス)について、血中濃度が高いと心筋梗塞などのリスクが高まる可能性が明らかになったと発表しました。

浦添市の群星沖縄臨床研修センターは2021年9月から22年4月にかけて沖縄本島のおよそ400人の血液検査を実施し、PFASの血中濃度を計測しました。

その統計分析を行った結果、PFASの一種であるPFHxSの血中濃度が高いと心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まる可能性が明らかになったということです。

血中濃度と動脈硬化を抑制する善玉コレステロールの低下に関連性がみられたとしています。
研究チームによると、この研究は国内でPFASの血中濃度と心血管リスクとの関連を本格的に検証した初めての報告だということです。
論文を執筆した研究チームの一員で、長年PFAS汚染について調査・発信する団体の代表・河村雅美さんは、今回の研究成果の意義について次のように述べています。

【研究成果の新規性は―】
▼IPP代表・河村雅美さん「一般住民の臨床データと血中PFAS濃度を組み合わせた国内初の医学的な報告でもあるというところですね。日本人の集団でもこういう健康リスクがPFASとの関係でありうることが示された」
今回の論文は、国際学術誌で専門家の評価を受ける「査読」を得たものであることから、同じ分野の研究において国際的にも貢献し得るとしています。
【研究成果の意義は―】
1万を超える種類がある有機フッ素化合物のうち国内で水質の規制対象となっているのは、PFOS(ピーフォス)とPFOA(ピーフォア)の2種類のみ。今後は、国の主導でさらなる疫学調査や早急な規制強化につなげることが課題だと指摘しました。
▼IPP代表・河村雅美さん「日本の水質規制というのが、値の高さだけではなく種類も非常に不十分であるということが分かると思う。日本でのPFASの規制強化や今後、疫学調査が必要性を示す貴重な証拠であるという意義がある。きちんと知見に取り入れて、早急に安全な種類、PFASの種類と値を保障するそういう規制に取り組んでもらいたい」