新型コロナの感染者数が3月下旬から連日、人口比で全国最多。
さらに7月からの感染第7波で患者が急激に増えるなか、県内の医療機関では新型コロナ専用病床を確保するため、一般診療に制限をかける事態となっています。

医療の現場では今何が起きているのか、沖縄本島の重点医療機関を取材しました。

浦添総合病院 感染防止対策室 原國政直室長
「ER(救急外来)でコロナ陽性が1人出ていて、自宅に帰すにはハイリスクで、うちも満床に近くて、入院待機ステーションが満床であれば、自前でまた病床を増やすかもしれない。」

重点医療機関に指定されている浦添総合病院。先月24日に医療フェーズが「緊急フェーズ」へと引き上げられたことで、一般診療に制限をかけてコロナ病床の確保を行っています。


浦添総合病院 原國室長
「先生たちが苦渋の決断をして、入院を延期しようとか、外来を延期しましょうと言って、その数を減らして今必要な場所に人材を投入して、そこで受けきるというのを毎日やっている状況ですね。」

コロナ専用の病床使用率が本島圏域で90%を超えるなど、医療体制のひっ迫が続く中での措置。しかし一般診療を制限することで生じるリスクも…。

浦添総合病院 原國室長
「予定入院以外の一次救急とか、二次救急とかを止めざるを得ない。例えば熱中症、交通外傷、マリンレジャーでのケガとか。自分も両親に言ったのが「ケガをしないでくれ」と。どこも受け入れられないんだよって。どこにも行くあてが無いという人たちが出てきているのが現状。


受けられるはずの医療が受けられない危機的な状況。病床の確保に加えて問題となっているのが、医療機関における人員の確保です。

浦添総合病院 原國室長
「職員も県民なので、コロナにかかっちゃうんですよね。50名弱の人たちがお休みをせざるを得ない。戦える仲間が出勤できなくなったり、ご家族の陽性で濃厚接触者でという状況になると、ベッドはあるけど診る人がいない。」

重点医療機関において、陽性や濃厚接触により出勤ができない医療従事者は、連日1000人を超えています。こうした人員不足をカバーするために、浦添総合病院では業務の枠を超えた体制がとられています。


浦添総合病院 理学療法士 金城沙弥さん
「看護師さんが清掃を担うということになったみたいなんですけど、看護師さんは患者さんのケアとかで手一杯なので、私たちリハビリスタッフが順番で病室の清掃を行います。やれることはやりたいという気持ちの方が、みんなで協力するしかないので。」

リハビリスタッフが、普段行わない清掃業務にあたる異例の事態。終わりが見えないコロナ禍で、現場の職員は何を感じているのでしょうか。

浦添総合病院 原國室長
「ゴールが見えたと同時によーいドンみたいな。もう頑張っている人間に頑張ってって言えないんですよね。医療崩壊がどんなものなのかなんて、今渦中にいてわからなくて、救える命を救う以外の選択肢が無い。なのでそれがやれるんだったらどういった方法を考えてでもやるしかない。」

「緊急フェーズ」という未知の領域に入り、医療提供体制が脅かされている今、県民ひとりひとりに、慎重な行動が求められています。