嘉手納基地の新たな大型格納庫建設計画について長年、騒音や悪臭に悩まされてきた地元住民からは、さらなる被害を懸念する声などが聞かれました。

嘉手納町基地渉外課 小嶺さん
「丁度この土手の向こう側にですね高さが30メートル、土手よりも少し高いくらいの建物が2棟できるというふうに説明を受けています」


ことし5月に明らかになったアメリカ軍嘉手納基地の新たな大型格納庫建設計画。
アメリカ軍などによると元駐機場「パパループ」に10階建ての建物に相当する高さ30メートルの格納庫を2棟建設する計画で、嘉手納町役場との距離は、わずか100メートルほどで、航空機のさび取りや塗装などを行う施設だということです。

小嶺さん
「嘉手納基地にですねE3という大型の早期警戒管制機があるんですけども既存の施設ではこういった大型機に対応していないということで(説明された)」
「パパループの使用自体そもそも反対している中でさらにこういった大型の施設を作るっていうことは絶対に認めないということでそういう対応をしていきたいと思います」

騒音や悪臭の被害が常態化している嘉手納町。「パパループ」をめぐっては民間地に近いことや駐機場として予定期限を超えて一時使用が続いていることなどから反発が強まっています。

地元住民はー


嘉手納町在住 当山政恒さん
「悪臭というのは排気ガスの臭い、南風で嘉手納の集落の方に流されて臭いもすごいです。長いこと悩んではいるんですけどね最近ね何十年も経つと諦めというか」

嘉手納町在住 津覇実栄さん
「会話が聞こえなくなるでしょ、それが困るよね。これが出来てしまえば、さらに嘉手納基地の運用が頻繁になるはずだから(負担が)軽減されるどこか逆に増えるだろうと思います」

この計画に嘉手納町議会はー

當山均町議
「長年、騒音・悪臭等の基地被害に我慢に我慢を重ねてきた周辺住民に対し配慮の欠片も見られず激しい憤りを禁じ得ない」

今月19日、計画の即時撤回を求める意見書と決議を全会一致で可決。
さらに、當山町長もきょうアメリカ軍に直接計画の即時撤回を要請しました。


一方、アメリカ軍はー「フィルターによって化学物質や臭いを集めるよう設計されている」「建物の大きさやデザインはパパループから町への“防音壁”として機能するはずだ」と地元に配慮した施設だと強調しています。

日本政府はー


岸防衛大臣
「地元の皆様に与える影響を最小限にとどめるように、米側と調整を行いながら、しっかりと取り組んでまいります」

日米両政府には、地元負担の軽減に向けた誠実な対応が求められます。




【記者memo】
アメリカ軍は、現在の施設が老朽化し、滑走路に近く安全上のリスクがあると計画の必要性を説明しています。

沖縄防衛局によると防衛省は、現在、アメリカ側に対し嘉手納町の懸念を伝えた上で、建設計画の詳細について説明を求め、様々なやりとりを行っているということです。