大分市けやき台の市職員、那賀浩さん(62)は、自ら育てたヒマワリを市内の幼稚園や病院に贈るボランティアを続けている。ヒマワリは、度重なる大病でどん底を味わった人生に、生きる勇気や喜びをくれた花。「子どもたちに笑顔を、病気で苦しんでいる人に元気を届けたい」との思いを込めている。
那賀さんは35歳で心筋梗塞、42歳で難病の潰瘍性大腸炎を発症。52歳の時に大腸がんを患い、全摘手術を受けた。入退院を繰り返す日々。人生の暗闇の中にいるような気持ちの中、退院祝いに来た職場の先輩から贈られたのがヒマワリだった。
那賀浩さん:
「上向きに咲く花の姿に不思議と勇気づけられた。自分も上を向かなければと」
2016年、自宅近くにある親戚の畑を借りて、ヒマワリを育て始めた。休日や出勤前後の時間に畑に通い、初めて大輪の花が咲いた時、闘病生活で塞ぎこんでいた心が晴れた。「自分と同じように多くの人が元気になってくれれば…」以来“ひまわりボランティア”と称して、地元の大南地区を中心に幼稚園や病院にヒマワリを贈るようになった。
11月9日(木)、事前に声をかけていたこども園と保育園(計11園)の職員らがヒマワリを受け取りに畑を訪問。那賀さんは慣れた手つきで色や形の良い花を選んで摘み取り、手渡していった。

吉野こども園・上曽山摩耶副園長:
「毎年楽しみにしています。教室で絵を描いたり、図鑑と見比べながら花びらを数えたり、子どもたちもすごく喜んでくれます」
「ひまわりボランティア」の活動は今年で8年目。最近は体調も良く、夏だけでなく秋にもヒマワリを育て、保育園や病院などの計50か所以上に1500本のヒマワリを贈っている。

長年、那賀さんの活動を見守ってきた妻・尚代さん(60)は「病気で精神的に苦しかった時を知っているだけに、今の主人のたくましい姿を見て尊敬しています」と話す。
那賀浩さん:
「病気してどん底だったけど、今ではラッキーだったとさえ思っている。ヒマワリを栽培するようになったおかげで色々な人と出会い、交流も生まれた。病気する前よりポジティブになり、今が人生で一番充実している」
これからの夢は、病気でつらい思いをしている人たちに自らの体験談を伝えていくことと意気込む。
那賀浩さん:
「病院にいる時、仕事や将来の事が不安で押しつぶされそうだった。もし同じように苦しんでいる人がいるならば、少しでも生きることに前向きになり、元気になれるようなお手伝いをしたい」
陽光に照らされ、上向きに咲く畑のヒマワリのように力強く、笑顔で語った。