大分県内で最大規模を誇る大分市の芸術文化施設「iichikoグランシアタ」の大規模改修が4月から始まり、1年あまりの長期休館に入りました。会場の変更に追われる芸術文化団体や周辺施設に影響が出ています。

2000人を収容する「iichikoグランシアタ」と700人を収容する「iichiko音の泉ホール」。4月1日から改修工事が進められています。

(県芸術文化スポーツ振興財団・賀来真管理監)「まずは客席の天井改修ということで屋根を全部落として鉄骨を入れるなど補強して元に戻すのがメインの工事になります」

東日本大震災では劇場などで吊り天井の落下が相次いだことから建築基準法が改正。2つのホールでも脱落防止対策として、吊り下げた天井を鉄骨で補強することになりました。

1998年にオープンした県立総合文化センター。2つのホールでは年間で250の公演が開催されています。開館から25年を迎えるグランシアタでは工事とあわせて古くなった座席を張替えるほか、車いすの可動席を増やします。また、要望が多かった女子トイレは22台から32台に増設するなど大規模な改修に着手するため、来年5月までの1年あまりにわたり2つのホールが休館します。

(県芸術文化スポーツ振興財団・賀来真管理監財団)「今まで最大で3週間から1か月でしたがこれまでにない長期休暇になります。250公演以上ありましたのでその方たちが1年間苦しむ」

長期休館を受けて大分大学では毎年、グランシアタで行っていた入学式の会場をJ:COMホルトホール大分に変更しました。

(J:COMホルトホール・大分香下綾さん)「専門学校や高校は卒業式や入学式をされていましたが、大分大学くらいの人数の規模は初めてになります」

このほか、5月21日に開催される別府アルゲリッチ音楽祭の室内楽コンサートをはじめ、グランシアタからあふれた大型イベントを受け入れています。

ホルトホールでは大ホールと小ホールの稼働率が80%に上っていて、すでに土日の予約は1年先までいっぱいに。

(J:COMホルトホール・大分香下綾さん)「1年前から予約を受け付けているので昨年度はとてもお問い合わせが多かったですね。こういうところもあるんだなと改めて目を向けていただく機会になるかな」

会場の確保が難しくなるなか、アイデアと工夫で乗り切ろうとしている団体もあります。大分交響楽団では6月のファミリーコンサートを「エイトピアおおの」で、10月の定期演奏会を「臼杵市民会館」で初めて開催することになりました。グランシアタではおよそ400平方メートルの舞台全体に70人のオーケストラが広がります。ただ、エイトピアおおのや臼杵市民会館は舞台の広さがグランシアタの半分ほどのため、配置の変更を余儀なくされています。

(大分交響楽団・倉内芳秋理事長)「オーケストラがフルで乗るにはギチギチかギリギリの大きさ。どういう形で楽器を配置するかシミュレーションが大変です。来年60周年の記念演奏会があるんですけど、それを新しいグランシアタで華々しく行いたい」

大規模改修で生まれた大型施設の穴を埋めようと芸術文化の関係者たちがあの手この手で奮闘しています。