3月も3000品目を超す食品が値上げ。ロシアのウクライナ侵攻などをきっかけとした1年にわたる物価高騰ラッシュに影響が広がり続けています。

大分県竹田市久住町にある牛舎。こちらでは約140頭の乳牛が飼育されています。就農して7年目の志賀拓馬さんは「エサ代の高騰が経営を圧迫している」と話します。

(はみんぐ・まむ志賀拓馬さん)「このままの状態が続けば酪農を続けていくことはかなり厳しい。飼料の高騰が一番大きなネックになっていまして、生産原価が大きくなってもその分、高値で売ることができないというのが一番苦しい状況です」

8割以上を外国から仕入れている牧草や大豆などの飼料代はこの1年間、ロシアのウクライナ侵攻や円安の影響を受け3割も上昇。志賀さんは飼料の自家栽培など自助努力を重ねます。

(はみんぐ・まむ志賀拓馬さん)「自家産の飼料などの利用を増やしていって、海外のモノに依存しないような酪農を目指していきたいと思っています。ですが経営状態としてはかなり厳しい状態でこれが続くと立ち行かなくなってしまう」

歯止めがきかない「物価高騰」。3月も値上げラッシュは続き、予定されている食品の値上げは冷凍食品や食用油など加工食品を中心に3442品目。中でも、菓子類は単月で最多となる593品目が値上げ予定となっています。

(新鮮市場新川店・伊藤邦彦店長)「おおよそ1000アイテム前後上げ幅としては10%から30%の間ぐらいと言ったところで値上げが予定されています」

このスーパーでは電気代の節約や労働力の効率化などコストカットを進めることで販売価格への転嫁を抑えてきましたが、この1年間は本当に苦しかったといいます。

(新鮮市場新川店・伊藤邦彦店長)「油などは6回程度値上げになっていますので、毎月のように(値上げが)来ますから、やはり苦しかったですね」

帝国データバンクによりますと、記録的な値上げラッシュとなった2022年は2万品目以上が平均14%の値上げ。1月の全国消費者物価指数も去年の同じ月と比べ4.2%の上昇と41年ぶりの高水準になりました。

(客)「家計にかなり響きますね」「いろんなものが上がっているので、なるべくこういう特売の日とかを活用して少しでも家計の出費を抑えていかないと」

また、卵も飼料の高騰や鳥インフルエンザの流行で2月の卸売価格は去年のおよそ2倍に。1キロあたり327円と過去最高値を更新しています。全国展開するファミリーレストラン「ジョイフル」では2月28日から卵を使った一部メニューの休止や内容の変更を行っています。

週に50キロの卵を使用する大分市内の洋菓子店は「卵の値上げは苦しいが仕方がない」と話します。

(お菓子のありの子・阿部一刀マネージャー)「卵の値上げはやはり大きいですね。でも卵農家さんも大変だと思うのでそこはしょうがないと思います」

この1年間で卵以外にも小麦粉や乳製品、油などほぼ全ての材料が値上げに。原材料費はおよそ1.5倍になりました。

(お菓子のありの子・阿部一刀マネージャー)「(商品の)値上げは、今様子を見ていて4月で耐えきれなくなったら若干値上げをさせてもらうかもしれないんですけど」

この1年間値上げをしたのは2つの商品のみ。勤務体制の効率化などで何とか耐えてきましたが、留まることを知らない値上げのラッシュに不安はぬぐえません。

(お菓子のありの子・阿部一刀マネージャー)「先ほど業者の人にきいたんですけど、チョコレートがまた4月に、あとバターも値上げされるみたいなんでちょっととまることがないというか」

コロナ禍での経済状況の悪化にエネルギーの高騰や円安などがもたらした物価上昇の1年。生産者も消費者も苦しめる動きに収束の気配はまだ見えてきません。