大分県臼杵市出身で声のスペシャリストとして講談師の真打に昇進した一龍斎貞弥さんに今年の抱負を聞きました。

臼杵市出身の講談師、一龍斎貞弥さん。安定した発声と巧みな抑揚で紡ぐ物語に観客は一気に引き込まれます。

貞弥さんの実家は紅葉のライトアップでも有名な普現寺です。

(一龍斎貞弥さん)「大きな普賢菩薩さまがいらしゃるんですが、上の所から飛び降りて度胸を試したりと、かけっこうやんちゃでしたね」

1964年生まれの貞弥さん。子どもの頃は毎日、境内や野山を駆け回り、のびのびと育ちました。

大学卒業後は外資系ホテルなどを経て声優の道へ。数ある経歴の中でも貞弥さんを有名にしたのが電化製品に使われる「機械音声」でした。

(講談師・一龍斎貞弥さん)「ただいま留守にしております。ピーという発信音のあとにお名前とご要件をお話ください、こんな声ですよ。鼻濁音でがぎぐげごと言うのをわざと『がぎぐげご』と言ったり、機械でデジタルに変換したときにはっきりした音にならないというのでかなり発音に関しては注意して収録しました」

声のプロとして、さらなる高みを目指そうと、2007年に一龍斎貞花さんに入門。厳しい前座修業に耐え、講談師の道を進めていた最中、ある病魔に襲われました。

(一龍斎貞弥さん)「ひどい腹痛が二週間くらい続いていた。『これはおかしい、すぐにCTをとってください』と言われてお腹中大変な状況になっていて」

半年あまりの闘病で悪性リンパ腫を克服すると、去年9月には真打に昇進。15年間の修行を経て、一人前と認められました。

12月17日には野津町で真打昇進を記念した公演を開催。「二孝女物語」という地元に伝わる実話を題材にした演目も披露し、故郷に錦を飾りました。

(観客)「とても美しい方でびっくりしたんですけど、始まると声が変わって惹きつけられました」「情景がわくのですごくおもしろいなと思って誇りですね。野津町の誇り」

(講談師一龍斎貞弥さん)「大分にもたくさんいいお話がありますので、歴史を繋げていくのも講談師の仕事なのでそういう活動もやっていきたい。これからも私は真打ちとしてその名に恥じないようにこれからやっとスタートだと思っているので、怠ることなく精進していきたい」