核兵器に対する警鐘
加藤氏は、これらの俳句から改めて核兵器の危険性について考える必要があると強調する。「日本の政治家の中にも、原爆を持った方がいいと割と軽いノリで考えている人が実は結構多い」と指摘し、最近の発言として「原爆は安上がりだ」と発言した政治家の例を挙げた。
広島県知事の「核抑止論は頭の中で考えた概念だ」という言葉や、長崎市長の「核抑止は理性を前提にしている」という発言を引用しつつ、加藤氏は「今の政治家を見ていると理性のない人が多いのではないか。頭の中で考えて、しかもそこに理性がない人がいたらどうなるのか」と危機感を示した。
原爆投下の是非についての世論調査を見ると、1945年直後にはアメリカ人の90%以上が「原爆投下は妥当だった」と考えていたが、現在では「妥当だった」「妥当ではなかった」「分からない」がそれぞれ約3分の1ずつになっているという。加藤氏は「原爆の悲惨さが徐々に浸透してきたからこそ、こうした変化が起きている」と指摘し、継続的な発信の重要性を訴えた。

加藤秀樹(構想日本代表)
京都大学経済学部卒業後、1973年大蔵省入省。証券局、主税局、国際金融局、財政金融研究所などを歴任。1997年4月、非営利独立のシンクタンク「構想日本」を設立。2009年に政府の行政刷新会議の事務局長に起用され、国レベルの事業仕分けに取り組む。公益財団法人国際連合協会評議員、一般財団法人地球・人間環境フォーラム評議員などを務める。