選挙は私たちが政治を最も身近に感じる機会だ。しかし、日本では政治が「人ごと」になっており、自分の問題として捉えられていない。OBSラジオ『モーニングエナジー』(6月30日放送)に出演した構想日本代表の加藤秀樹氏が、政治家一人ひとりに対して「ものすごいお金」が使われていると説明。政治と選挙に関わるカネの問題から低い投票率の原因まで、私たちが知るべき「自分ごと」としての政治の姿に迫る。
普通選挙100年…政治は「人ごと」のまま
今年は昭和100年と言われているが、もう一つの「100年」がある。それは普通選挙が制定されて100年という節目だ。それまでは一定の納税額以上の人にしか投票権がなかったが、25歳以上の男性であれば誰でも投票できるようになった。
しかし、「普通選挙というものの、有権者は男性だけで、女性も参加できるようになったのは戦後の1945年(翌年の衆院選で初投票)です。ですから性別を問わず普通選挙が行われるようになって80年ということになります」と加藤氏は歴史を振り返る。
その後、1996年から日本の選挙制度は小選挙区比例代表並立制に変わった。それ以前は中選挙区制だったが、変更の最大の理由は「お金」だったという。
「自民党は1つの選挙区内で派閥間の競争が激しかった。派閥の議員を増やして自分の派閥から総理・総裁を出そうとすると、派閥間でお金をどれだけ集めるか。その結果、議員をどれだけ自派に囲い込むかという競争が激しくなり、金権政治の弊害の元となった」と述べる。
こうした状況を是正するとともに、欧米のように2大政党制による政権交代を目指して選挙制度の変更が行われた。
ところが、「いまだに金権政治の問題は解決せず、また欧米では逆に2大政党制が崩れつつある。結果としては、日本の小選挙区制度は当初の目的を達せていない」と加藤氏は指摘する。