低い投票率は情報不足と政治教育の欠如

日本の投票率は国際的に見ても非常に低く、世界200か国中、160番目程度だという統計もある。ヨーロッパの主要国が70%を超える投票率に対し、日本は50%程度にとどまっている。

その理由として加藤氏は、議員が日々何をしているかについての情報不足を挙げる。企業であればどんな商品やサービスがあるか、業績、さらには不祥事などの情報がテレビや新聞などで出されるが、「政党や政治家がこの1年間何をしたか、何に熱心にやったかという情報がない」と指摘する。

さらに教育の問題もある。

「学校でお金の話は教えても政治の話は教えない。世界でこれほど政治の話を教えない国は日本ぐらいではないか。いわゆる政局ではなく、政治の中身のことはちゃんと教え、考えさせるべき」と懸念を示す。

これが若年層が政治を「他人ごと」と考え、投票率が低くなっている大きな背景になっているという。

加藤氏は「学校でも政治のお金の話や選挙の話、主な政策などについてちゃんと教えて、自分ごととして捉えられるようにしていくべき」と提言する。

政治を「他人ごと」ではなく、「自分ごと」として捉えることは非常に重要だ。投票に行くことは、その第一歩となるだろう。

加藤秀樹(構想日本代表)
京都大学経済学部卒業後、1973年大蔵省入省。証券局、主税局、国際金融局、財政金融研究所などを歴任。1997年4月、非営利独立のシンクタンク「構想日本」を設立。2009年に政府の行政刷新会議の事務局長に起用され、国レベルの事業仕分けに取り組む。公益財団法人国際連合協会評議員、一般財団法人地球・人間環境フォーラム評議員などを務める。