コメの値段が急騰し、全国各地で備蓄米の販売が始まるなど、日本のコメ市場に異変が起きている。OBSラジオ『モーニングエナジー』(6月9日放送)に出演した構想日本代表の加藤秀樹氏が、なぜこのような事態になったのかを詳しく解説した。

米価高騰問題3つの側面

「コメの値段が急に高くなった背景を整理すると大きく3つある」と加藤氏は話す。

現在の急激な価格高騰への対応は、いわば応急処置だ。備蓄米を市場に放出し、価格を安定させる取り組みがすでに始まっているが、これはあくまで一時的な対策に過ぎない。

スーパーに並んだ備蓄米

問題の本質は、なぜ米価が急騰したのかという原因分析だ。加藤氏によると、この問題は「流通の問題」と「生産の問題」「政治の問題」の3つの側面から考える必要があるという。

まず流通の問題について、「小泉大臣も流通がブラックボックスだと言っていますが、確かにわかりにくい部分があります。農家の収入は販売価格の3分の1程度にすぎません」と加藤氏は指摘する。

コメは農協が集荷し、卸を経由して小売りに至るまで複数の過程を経るため、価格形成が見えにくくなっている。

ただし加藤氏は、流通過程だけを問題視する見方には警鐘を鳴らす。「農家が詰めたコメの中にはワラなども混じっており、それをきれいにする工程や精米、小売り用袋詰めなど多くのプロセスがあります。“ブラックボックス”と言って悪者扱いするだけでは解決しません」

一方で、「スーパーなど大手小売りの力が強く、中小の卸や農家が下請け的になって、一生懸命作った人が報われないケースもある」と指摘する。農家の収入が時給換算で『10円』とも言われている。