国内では珍しく市場にもほとんど出回らない「幻のフルーツ」が大分県由布市で生産されています。その魅力を全国に届けようと奮闘する男性を取材しました。

長くて、ふっくらとした形をしたエメラルドグリーンの果物「ポポー」。北米原産のフルーツで、戦後、食料難の時代には庭で植えていた家庭も多かったといいます。栽培も難しく、なかなか流通しない幻のフルーツです。

この幻のフルーツを18年前から大分県由布市湯布院町で栽培している村田武さん。「ポポー」は風に弱く、熟す前に落ちてしまう実が多いため、実際に食用にできるのは5割から6割にとどまります。さらに、日持ちもしにくいのです。


(伊東記者)「バナナとか梨とか、いろいろな味がする。独特というか、面白い味で美味しいです」

村田さんはおよそ24年前、大分市吉野でポポーを栽培していた川田康さんと出会い、そのおいしさに魅了され栽培を始めました。

(村田武さん)「川田さんはもう今年89才になるんですけど、このままポポーを途絶えさせるのは凄くもったいないなと思いまして」

18年かけて栽培面積を4倍に拡大。今ではおよそ1000本の木から1.5トンを収穫しています。そのままでは出荷が難しいポポーを村田さんはジャムに加工して販売しています。


(村田武さん)「裏ごししていくとカスタードクリームのような感じになり、いい香りのジャムになる」

爽やかな香りと滑らかな食感。完熟ポポーの旨味を凝縮したジャム。トーストやヨーグルトと一緒に食べるのがおすすめとのことです。

ポポージャムは村田さんが経営する店やネットで販売しています。さらに、東京を中心に全国の百貨店などに店舗を展開している食品の卸・小売りグループでも扱い、人気の商品になっています。

(ヒサダグループ・宮田さつきさん)「2017年に700本はじめて取り扱いを始めささせていただいてから今年は1800本お願いをしています。一度食べた方はリピーターになっていただき、この時期は毎日のようにお問い合わせをいただいております」

評判を呼ぶポポージャム。依然、栽培の難しさはあるものの、村田さんは、農園の拡大を進めています。

(村田武さん)「これからは収穫量も増えてきてますので、もっと展開ができるとなと思っています。無くなってしまったらしょうがないので、ポポーというものを残していけるように、続けていくことが一番と思っています。」

幻のフルーツの魅力を多くの人に届けたい。村田さんの思い描く夢はポポーの甘い香りとともに湯布院の地から広がっていきます。