大分県宇佐市長洲では15日初盆を迎える家が御殿灯籠と呼ばれる豪華な盆飾りを墓前で燃やして、故人を供養する伝統行事が行われました。

金色で彩られた五重塔や神社仏閣が並ぶ豪華な灯籠。御殿灯籠と呼ばれ、墓前で燃やすことで故人を供養する宇佐市の初盆の伝統行事です。

舛田さん一家は今年初盆を迎えます。ことし83歳で亡くなった舛田米春さん(享年84)を御殿灯籠で見送ります。

(長男の舛田淳さん)「長洲で生まれて長洲で育って長洲で死んだひとなのでこの初盆やりたいなって口には出していませんが、思っていたのでここまでせんでいいんじゃがっていう感じで天国から言いよるんじゃないかなって思うけど、実際はありがとうって、心の中で喜んでいるんじゃないかなと思います」

国の選択無形民俗文化財になっている長洲の初盆行事。源平の戦いに敗れた落人が一門の霊を慰めるため京の都を偲んで始めたといわれています。

(孫)「祖父はキャッチボールとかやってくれて、またやろうって言ってくれました」「じいちゃんを笑って送り出せたら良いんじゃないかなって思います」

午後3時家を出発。真夏の猛暑の中友人や近所の人たちも御殿灯籠を担ぎ生前の米春さんなじみの場所をめぐります。妻の照代さんは死者の霊を慰めると言われる盆口説きを歌います。

午後7時共同墓地に到着。御殿灯籠に火がつけられます。燃えさかる炎が送り火となり死者の霊を送るといわれています。

(舛田淳さん)「ちょっとうるうるくるところもあるけど、俺は泣かないけどこんめぇ頃からの思い出もあるし最後の供養ですね、親孝行です。ありがとうございました」

無口ながら優しい人柄で愛された米春さんをにぎやかに送り出そうと行った舛田家の初盆行事。家族の感謝の思いが米春さんに届きました。