子宮頸がんなどを予防するHPVワクチンを巡り、現在、全額自己負担となっている男性への接種を促そうと、29日、長崎市の大学生が鈴木長崎市長に助成を求める要望書を提出しました。

要望書を提出したのはHPVワクチンについて発信している長崎大学の医学部生3人です。

子宮頸がんなどの原因として知られる『HPV=ヒトパピローマウイルス』は、女性だけでなく男性にも感染します。

感染すると のどや肛門のがんになる恐れがあり、性交渉で女性に感染させるリスクもあるため、欧米や日本の一部自治体では『男性も無償でワクチンを接種できる制度』が整えられています。

しかし、長崎県内には助成制度がなく、男性が接種するには自費で5~6万円かかるのが現状です。

長崎大学医学部・VCAN長崎支部 湧川立規さん:
「長崎市が(男性接種の)助成を進めれば 九州の自治体では初となりますし、長崎県は非常に子宮頸がんの罹患率が高い県ですので、そういった自治体が助成を進めることは社会的に意義があることではないのかなと考えています」

要望に対し市側は「財政負担については慎重に検討したい」と回答しました。

学生らは今後、中学校や高校で出張授業などを行い、HPVワクチンへの理解を広めていきたいとしています。

背景には長崎県で高い“子宮頸がん罹患率”

今回、大学生たちは男性のHPVワクチン接種の助成と合わせて『女性の積極的な接種』に向けての情報発信も要望しました。その理由は、長崎県内の子宮頸がんの罹患率が2019年の最新のデータで全国ワースト10位となっているからです。

『HPVワクチン』を巡っては、接種後の副反応の影響により 国が積極的に接種を呼びかけていなかった時期があります。この時期に接種を逃した女性は来年3月まで公費負担で接種できるため、県医師会でも積極的な接種を呼びかけています。