“核兵器のない世界”の実現を目指して岸田総理が立ち上げた『国際賢人会議』の第3回会合が8日から2日間の日程で長崎市で始まりました。

核軍縮をめぐる国際社会の分断が深まる中、“核兵器国”と“非核兵器国”双方の委員が『核兵器のない世界』の実現を目指し、それぞれの国の立場を超え、具体的な道筋を議論する国際賢人会議。

2026年のNPT再検討会議に向け核軍縮の議論を加速させる意義があり、会議には各国の委員14人のほか、医師で被爆者の朝長万左男さんも、被爆地・長崎の有識者として議論に参加しています。

開会セッションで、朝長さんは「長崎の被爆者は “核抑止”が前提のG7広島サミットの成果文書に失望した」と述べ、“核抑止”からの脱却を訴えました。

日赤長崎原爆病院名誉院長で被爆者の朝長万左男さん(80):
「(核の時代をひらいた)アメリカ政府・アメリカ市民の責任が今 追及されなければいけない。日本政府、被爆者を含む日本の市民にも将来の責任がある。アメリカそして日本が同盟国として、核抑止論を超克することを期待している」


開会に先だち、委員らは8日午前被爆地・長崎への理解を深めようと、長崎原爆資料館や旧城山国民学校の校舎を視察しました。

築城昭平さん:(英語で)「私の名前は築城昭平です。96歳です」

委員らは爆心地から1.8キロで被爆した築城昭平さんの英語での被爆講話にも耳を傾けました。

被爆体験講話をした築城昭平さん(96):
「一番知ってもらいたいのは放射線の怖さですね。これが人類を滅亡させるもとになっていくんじゃないか、そういうことをやっぱりもっともっと理解してもらいたい」

また、長崎の被爆者団体の代表との対話や、若者を中心とした市民団体メンバーとの意見交換も行われました。

長崎原爆被災者協議会 田中重光 会長:
「今の国際情勢を反映して、色んな厳しい状態だと思いますけども、本当に核廃絶の立場に立っての提言(道筋)を出してほしいなと」

開会セッションでは白石座長が「長崎を最後の被爆地とすべきである」という長崎のメッセージを強調。

核兵器国の委員からも核問題への危機意識を伺わせる発言が聞かれました。

ロシアエネルギー 安全保障研究センター アントン・フロプコフセンター長:
「将来のために、なんとか共通の立場を見出すことができればと思っています。これは、全ての世界の国々に影響を与えうる問題だからです」

議論は9日午前中いっぱい行われ、午後の閉会セッションには岸田総理も出席する予定です。