今年4年ぶりに奉納踊が行われる長崎市諏訪神社の秋の大祭「長崎くんち」の踊町を紹介するシリーズ「復活!奉納踊」
今回は丸山町の本踊です。
丸山町は町内にある長崎検番の芸妓衆が本踊を奉納します。
今回舞うのは長崎検番でのみ受け継がれてきた『うかれ唐人』
若手芸妓衆が “伝統の舞”と格闘しています。
58年ぶりの披露「うかれ唐人」
長唄『唐人共祝崎陽祭(とうじんとともにいわうきようのおまつり)』
長崎検番に伝わる「うかれ唐人」
唐人が、丸山で芸者と戯れる様子を表現しています。
“全編”を長崎くんちで奉納するのは58年ぶりです。
長崎市丸山町にある長崎検番は築100年をこえる木造の2階建てです。
ここでは料亭などに芸妓衆を手配します。
8月末、初めての場所踏みが行われました。
踊り馬場は石畳。お座敷とは勝手が違います。
どの場所に立つのか、細かく確認します。
踊りの指導は、花柳 孝光央さんです。
花柳 孝光央さん:「こう来て行った時に、ちょっと出過ぎるから」
すず華さん:「斜め前じゃなくて真横に行くんですか?」
花柳 孝光央さん:
「この場所を覚える。石畳の幅が違うところ(があるから)ね。そこを気がけること」
「神様に良い奉納踊りを」初出演の芸妓衆が奮闘
丸山町の奉納を務めるのは、町内にある長崎検番の芸妓衆です。
今回、長崎くんちに初めて出演する芸妓衆が2人います。
芸者役のすず華さんは、長崎検番に入ってわずか半年です。
すず華さん:
「自分にできることを精一杯して、成長したという姿を見せて、神様に良い奉納踊りができるように頑張ります」
桃羽さんは検番に入って7年目。
唐人役として一人で演じる“見せ場”もあります。
桃羽さん:「必死です。今日の場所踏みだけでも、本当に緊張して間違えてしまったので。もうプレッシャーは…山盛りです」
「艶があって素敵ですね」約60年前に披露された大先輩の映像を見て学ぶ
「うかれ唐人」の “全編”を、長崎くんちで奉納するのは1965(昭和40)年以来、58年ぶりです。
NBCに残っていた昭和34年から40年の映像を芸妓衆に見てもらいました。
昭和36年…この頃の長崎検番には、約100人の芸妓が在籍。
選ばれた者しか、くんちに出演できない時代でした。
初めて見た大先輩の唄と演奏に若手芸妓衆は──
桃羽さん:
「すごく勉強になりました。芸者さんが踊っているという艶があってですね。すごく素敵ですね」
すず華さん:「(この速さで)踊りよったとですか?」
鳴物・勝丸さん:「そうさ。地方さんに“速か”“遅か”の言えるもんね、踊子が」
地方補導・松永 鐵文康さん:「弾いた通り踊らんば」
勝丸さん:「最初から速かったもん。こんなゆっくりじゃなかったもん」
すず華さん:「唄うとも大変そうですけど」
勝丸さん:「タッタッタッタいきよったもん」
検番一丸となって伝統を引き継ぐ
検番は “綺麗事”で踊る──
どんな状況でも軽々と美しく踊るのが、プロの芸妓です。
今回、芸者役の若手3人を、梅喜久さん、鹿の子さんらベテランが支えます。
すず華さん:
「長崎検番で1つになって、一丸となって、良い奉納踊ができるようにこれからもずっと練習していきたいです」
桃羽さん:
「神様も上から見てくださっているので『あー良かったね!見に来て良かったね!』と、素直に思っていただけるように頑張ります」
長崎検番が大切に守ってきた『うかれ唐人』。
長崎くんちの舞台で次の時代へ、その伝統を繋ぎます。