港も競争の時代 長崎港の価値を高める
【平】ちなみに"岸壁確保"とありますが、ここで”岸壁使用料”が発生します。長崎港で9万トンのクイーンエリザベスが一日岸壁を使用した場合、いくらになるかわかりますか?
【住】考えたことがなかったのでわかりませんが…
【平】客船の場合1トンあたり7.2円とされているので、単純に掛け算をするとクイーンエリザベスの場合にはおよそ65万円になります。これが収入として長崎県に入ってきます。船が入るたびに県の財政にもプラスがあるということですね。客船は岸壁使用料の単価がほかの種類の船より高く、船そのものも大きいので、高額な収入になります。
【住】大型のクルーズ船が入ることで、港そのものも潤っていくんですね。
【平】そういうことです。
いろんな意味で誇れる長崎の港という話題だったんですが、今回の取材で一つ残念なものを見つけました。

松ヶ枝国際ターミナルの入口に設置されている地図。上陸してきた観光客が行き先を調べるときに見る可能性がありますが、かなり傷んでいます。地名も簡単には読めません。

道のように見えるのは”ヒビ”でした。案内板そのものが劣化して判別不能、さらにここ数年名称が変わった電停も、以前の名称のままでした。
外国から来た人にとってはわかりにくいだけでなく、間違った情報を見せられたことにもなり、混乱を招きかねない設備といえます。
管理している長崎県によりますと、この案内板が設置されたのは2011年。決して古くはないんですが、観光地の玄関口の設備としては適切ではありません。この案内板について県は「傷んで読みづらくなっているのは把握している、改善改修を検討している」としています。
【住】できれば、クルーズ船の受け入れ前に改修して欲しかったですね。

【平】港も今、競争の時代です。2017年に長崎に入港した同じイギリスのクルーズ客船”クイーン・メリー2”。世界最高峰の客船ともいわれています。こうした船が入ることによっても港の格は上がっていくといわれていますが、”クイーンメリー2”はこれ以降、長崎には来ていません。クルーズ船が寄港する港の間でも様々な競争があります。寄港地も常に試されているんですね。
今回紹介したような、そもそも備わっている長崎港の総合力に加えて、外国人観光客に対する”船を降りてからの便利さ”や”長崎ならではの楽しみ”に磨きを掛けて、長崎港に寄港する価値をあげていきたいですね。
【住】平家 達史NBC論説委員とお伝えしました。