長崎が全国1位のシェアを誇るびわ。しかし、栽培には手間がかかることもあり生産者は年々減少しています。
こうした中、”ドローンを使った農薬散布” や ”内部の腐敗がAIでわかるシステム”など『びわのスマート農業』が本格的に始まっています。

■ 江戸時代からの長崎びわ 大きな変革期

今が旬。大玉でみずみずしい長崎のブランドびわ「なつたより」
江戸時代から続く長崎のびわ栽培は大きな変革期を迎えています。


長崎市千々町。100年にわたって『びわ』を育ててきた森果樹園です。
4代目の森 純幸さん(48)と 父、常幸さん(75)です。

びわ農家4代目 森 純幸さん(48)「(今年の)出来はまずまずなのかなと思っています」

斜面地に拡がる果樹園には、およそ1000本のびわの木が植えられていて、長崎のブランドびわ「なつたより」を中心に栽培しています。

長崎産のびわの生産量は全国のおよそ3割を占めます。
日本一の産地にのしかかる大きな課題は…

森 純幸さん「人手不足っていうのが一番あります」

最盛期だった1980年には、およそ2000戸いた生産者が、今では4分の1に減少し、高齢化も進んでいます。

森 純幸さん「私は48歳になります。下から数えて5番目くらいにはなりますね。まだまだ若手扱いです」

生産者が減っている理由の一つが『栽培の手間』です。
びわは日当たりと水はけが重要なため、斜面地で栽培されます。
このため、車を使った農薬散布など作業の機械化がほとんど進んでおらず、他の農作物より負担が大きいと言います。

父・森 常幸さん「(栽培から収穫まで)全て手作業でせんばだからねえ、大変ですよ。やっぱり」

■ スマホで低温障害予防 ドローンやAIで省力化 

日光にもデリケートなびわは、一房ずつ ”日焼けなどを防ぐ袋かけ”が必要です。森果樹園では約4万袋 用意します。


様々に手間がかかるびわ栽培。こうした作業の効率化や省力化を進めブランドびわの存続につなげようと本格的に始まったのが『スマート農業』です。


長崎県農林技術開発センターの後田 経雄さんは、森さんと協力して、おととしからスマート農業の実証実験を始めました。
後田 経雄さん「以前は私も果樹部門の方の研究にいましたんで、びわの栽培もやってたんですよ。
(住吉キャスター:そういうのもあって"(スマート農業を)進めないと"という思いが?)
そうですね。そういう気持ちがあった」

後田さんが最初に取り組んだのは気温・湿度・降水量がリアルタイムでわかる気象観測システムの設置です。

びわは寒さに弱く、冬場、気温が氷点下2度を下回ると実をつけなくなってしまいます。
実証実験では、茂木や野母崎など11地点にセンサーを設置し、スマートフォンで実際の気温を確認できるようにしました。
これにより、気温が下がりきる前にハウスの温度を調節するなど、早目の対策を打てるようになりました。

また省力化に絶大な効果を発揮するのがドローンです。


森 純幸さん「農薬散布も結構、重労働で。時間もやっぱりかかってたんですけど、ドローンでできるようになったら、10分の1ぐらいの時間でできる」

去年、防除用ドローンの講習を受けた森さん。地区では現在、6人が操縦することができます。
これまで農薬散布は1回あたり4000リットルを、人の手で20時間ほどかけて撒いていましたが、これがたったの2時間に短縮できるということです。
本格運用は今年秋からの予定です。