美味しい、そして環境にもやさしい養殖技術の確立へ
産業化の恩恵を受けるのは、生産者だけではありません。

旬彩ながや 永石 一成さん:
「僕ら飲食店は、やっぱりどういう状況でも均一なサービスを提供していかないといけないので、こういうふうに養殖で安定的な高品質の魚が入ってくるというのは、飲食店としては本当にメニュー設計とか、サービスを安定させる上でも非常に重要だと思ってます」

長崎が養殖ブリの一大生産拠点となることによって、飲食店をはじめとした地域の関連産業への波及効果も期待できます。

永石さん:
「長崎に来たら美味しいブリが食べられるよ、というのは集客にもつながっていく、長崎の飲食店のブランディングにもつながっていくので、そういう部分でも非常に期待をしています」
一方で、ブリ養殖を産業化するには、まだいくつかのハードルがあります。

現在のブリ養殖は、天然から捕った稚魚を育てるのが主流ですが、最近は資源保護の観点から、世界的に厳しい目が向けられています。

このため、産卵から孵化までを人の手で行う「完全養殖」に変えていく必要があるのです。

征矢野 教授:
「海外の展開にあたって、安全・安心なブリはもとより、環境に優しい技術をもって生産するということが必須でありまして、それなくしては海外へ輸出することができない状況になっております」

また、海を汚さない養殖方法も不可欠です。
その一環として、現在おもに湾内に設置されている”養殖いけす”を沖合に移し、さらに海中に沈めることで、天候に左右されにくい養殖技術の研究が進められています。