消えゆく老舗を守りたい NYタイムズへの掲載に込めた「思い」

推薦文には、モドさんが惚れ込んだ個人経営の店も登場します。一つは、作家・遠藤周作も愛した『珈琲 冨士男』。

「冨士男の卵サンドとかミルクセーキとか、すごくおいしい。インテリアの昭和時代のレトロ感はすごく面白いし、スタッフの動きとか制服とかもちょっと独特で私は好きで」

記者(卵サンドも召し上がったんですね?)
「はい、そうですね、マスタードありで(笑)」

もう一軒は、樹齢800年のクスノキの傍らで140年続く『老舗菊水 大徳寺焼餅』。通常、個人の店を世界的なメディアで紹介するのは「迷惑になる可能性がある」と慎重になるそうですが、今回はあえて掲載しました。

「ニューヨーク・タイムズの力が半端ないので(個人の店を紹介すると)すごく迷惑になっちゃう。だけど、後継ぐ方もいらっしゃらなかったし、お父さんお母さんも80代・90代になってたから、こんなに長くやって(人生の)黄昏の時期に、こんな海外からの注目が入ってきたら、それもそれで、次の後継ぐ方がこれで出てきたりとか、保存される確率が上がったらいいなと思って推薦しました」

菊水では先月、店主の松本利治さんが他界されましたが、現在は妻・久良子さんと息子さんがその意思を継ぎ、不定期で営業を再開しています。その再出発に、モドさんも安堵の表情を見せます。

「昔のままの味を守って餅を焼き続けたいというメッセージがあったから、それはそれですごく嬉しいことですね」