有明海の干満の差を利用して魚を捕る伝統の「スクイ漁」。諫早市では先月、保存会も立ち上げられた珍しい漁に密着しました。

諫早市高来町、有明海の干潟に干潮になると姿を表す「スクイ」と呼ばれる漁場です。外周およそ330メートルを石で囲っていて、魚は満潮時にスクイの中に入り込みます。

スクイの所有者、中島愿さん78歳。物心がついた頃からスクイ漁に関わっています。

干潮時、潮が引いた後に、スクイに取り残された魚を捕獲します。にわかに波立ち、魚がいる気配がします。中島さんの網に魚がかかりました。小さなボラ、エビナゴです。

スクイ漁場は江戸時代から明治の中ごろまでに有明海の沿岸などに200か所以上見られましたが、環境の変化などで時代とともに姿を消し、現在、高来町に残っているのはこの一か所のみです。

(中島愿さん)「非常に価値があるなとつくづく思うんですよ。貴重な構造物だから何とか残せたら。」
スクイ漁場を守ろうと地元の人たちが先月、保存会を立ち上げ、諫早市も協力しています。

(諫早市文化振興課 平古場綾乃さん)「地元の人に知ってもらいたいそれだけ地元に残したいという価値は大いにあると思います。」

自然を巧みに利用した原始的漁法のスクイ漁。保存会では来月、地元の子どもたちを対象にした体験イベントを開くことにしています。