弁護側は即日控訴

一審の長崎地裁は、『被害者が一名にとどまることなどを十分考慮しても、犯行の罪質、結果の重大性、遺族らの処罰感情、犯行動機の不当性、犯行態様の悪質さなどから極刑を科すことはやむを得ない」などとして、死刑を言い渡しました。弁護側は判決には事実認定に誤りがあるなどとして直ちに福岡高裁へ控訴しました。

死刑判決破棄

死刑判決の指標とされる「永山基準」(最高裁判決)に照らせば、被害者1人で、殺人の前科がない城尾への死刑判決は異例とされました。控訴審では死刑判決が維持されるのかが焦点となりました。

そして2009年9月、福岡高裁の松尾昭一裁判長は、一審の長崎地裁判決を破棄し、無期懲役を言い渡しました。事実認定に誤りはないとしながらも、犯行目的については「選挙妨害そのものが目的ではない」としました。

『本件の主要動機は、被告人の不当要求を拒絶した市の首長である被害者への恨みだ。政治的信条に基づき、被害者を政治的に排除しようとしたものではない。被告の主張は同情の余地はなく、極めて反社会的で不当なものと言わざるを得ないが、組織の意向に従って行動したものではなく、経済的利益を得ようといった、より悪質な意図は見いだせない』

『組織内で孤立を深めた被告の焦りと、自らの健康状態が思わしくなく、長く生きられないかもしれないとの絶望感から思い詰めて自暴自棄となって、短絡的に殺害を決意するに至った面がある』

取り押さえられた容疑者

『選挙妨害そのものが動機ではないが、民主主義の根幹の選挙制度をないがしろにするもので、結果は重大である』