原因は「情報管理されず」
食道がんが見つかった当時の担当医について、大学病院は「耳鼻科医としての経験年数10年以上のベテラン」だと説明しています。
原因については、「進行していた下咽頭がんの治療を優先した結果、早期食道がんの存在を失念した」「診療科内のカンファレンスで情報共有はされたが情報が管理されず、その後の診療行動へ結びつかなかった」「主診療科以外の診療科や部門による第三者的な管理が実施されていなかった」などとしています。

19日午後大学が開いた会見の中で、長崎大学病院耳鼻咽喉科の熊井良彦教授は「今回起こった事象は診療科全体の体制の問題。複数主治医で情報を共有しているにも関わらず、診療行動につながらなかった。私が責任を感じている」と話しました。

また室田浩之副病院長は「単なるヒューマンエラーや個々の医療従事者の能力の問題ではないと考えている。『失念』が継続してしまった状況は病院全体としての医療安全管理の問題と捉え、そこに主眼を置くべきと考えている」と話しました。
再発防止策
再発防止策について大学は、「検査で重要な初見があれば、電子カルテ上の検査報告書にフラグを立てるシステムが既に導入されている」としており、フラグを第三者的に管理するため、医療職を新たに配置し、検査所見が診療行動につながっているかを確認・管理するとしています。