フリー漫画家の実状

【住】ところで、全国には、フリーランスの人はどれくらいいるのでしょうか?
【平】2020年に内閣官房が実施した調査では、全国で462万人です。このうち、事業者から業務委託を受けて仕事を行うフリーランスのおよそ4割が 「取引先とのトラブルを経験したことがある」と回答しています。

【住】どのようなトラブルが多いんでしょうか?
【平】例えば、「発注の時点で、報酬や業務の内容などが明示されなかった」、「報酬の支払いが遅れた・期日に支払われなかった」、「報酬の未払いや一方的な減額があった」などのトラブルが 起きています。

また、取引先とのトラブルに対して交渉せずに受け入れた人もいます。その理由としては、 「受け入れないと、今後取引が打ち切られたり、減らされたりすることとなり、活動に大きな支障をきたすため」という声も寄せられています。

【平】長崎市でフリーランスとして働く漫画家の女性に実情と、新法に期待する気持ちを聞きました。

1992年にプロデビューし、長崎をテーマにした作品も数多く手がけてきた漫画家・イラストレーターのマルモトイヅミさん。これまで、発注元との間で立場の弱さを何度も実感しました。

漫画家・イラストレーターのマルモトイヅミさん:
「結構たくさんあって、そのまま泣き寝入りみたいなことも多かったので。向こうの方がとてもえらい会社だっていう風な意識があって言われるとおりにしないとなっていうのがありますね。んー漫画家の世界ってそれが常識みたいなところがまかり通っていたので、そのときはそれが当然だと思っていたので、今それがすごくトラウマ」

新しい法律の施行後、違反行為があった場合、フリーランスの人は行政機関に、申し出ることができるようになります。

漫画家・イラストレーターのマルモトイヅミさん:
「本当に気が弱くて、こういうのって泣き寝入りすることが多いので、そういう泣き寝入りをしていた人たちにとっては力強いものにはなると思います。ちゃんと法律の後ろ盾があるんだったら、頑張ってやってみようかと思ってます」