■ 『土砂災害は一挙に起こる』弱い人たちが災害に遭う

住吉:
松尾さん、長崎大水害では、特に土砂災害で被災した方の数が多かったようですが、特徴はどんなところでしょうか?
松尾さん:
299人のなかで260人が土砂災害で亡くなった。犠牲者の約9割が土砂災害なんです。これは、梅雨末期のいきなりの大雨で、逃げる猶予時間も少なく、しかも暗い夜の8時から深夜にかけて被害が集中したということです。

このグラフは『被災した家屋にいて被災した世帯の同居家族の人数』をまとめたものなんです。
ここからも分るように、一番多いのは『家に4人いた家族』。71世帯が被災しているということです。
これは『土砂災害は一挙に起こる』ということと、『家屋全部が流される』という土砂災害の悲惨さを示すグラフだと思います。


次のグラフは、長崎大水害と4年前の西日本豪雨での『被災者の年齢構成』を比較したものです。西日本豪雨も260名近くが亡くなりました。
この二つの水害の被災者を年齢別にみると、60歳以上が西日本豪雨では7割
長崎大水害は40年前の住民の年齢構成が若いということもあるんですが、20~50代の世代が最も多い
これから何が見えるかと言うと、最近の被災者は、高齢者が多いということです。
同じことが今、長崎で起こったら高齢者層が被災する。『弱い人たちが災害に遭う』ということですから、今後の対策として『高齢者を含めた要支援者対策』というのが重要だということです。