コロナ禍を経て感染症を防ぐために定着したのが、アルコール消毒ですが、このアルコール消毒が効きにくい感染症が現在、全国的に流行しています。
それが、例年、夏場に流行する「プール熱」です。なぜ今の時期に流行っているのか、そして、どう対策すればよいのか専門家に聞きました。
「プール熱」と呼ばれ、夏に流行することが多い「咽頭結膜熱」。
アデノウイルスを原因とした子どもの間で広がりやすい感染症で、発熱や喉の痛み、それに結膜炎などの症状が特徴です。
宮崎県内では、今月19日までの1週間に1医療機関当たり4.28人の報告があり、2週連続で流行警報レベルの「3」を超えていて、2000年以降では、最多の報告数となっています。
例年、夏に流行する「プール熱」。
なぜ、今年は、今、流行しているのでしょうか。
(愛泉会日南病院 峰松俊夫医師【ウイルス学】)
「アデノウイルスは夏に流行しているように見えるが、ウイルスとしては一年中検出されるウイルス。新型コロナウイルスが流行ってから、2020年以降この3年間、咽頭結膜熱はあまり流行していない。大体、通常の流行の半分も流行していなかったので、そういった間に小さい子どもたちが免疫を獲得できなかった」
県内では感染者のおよそ8割を1歳から5歳の幼児が占めていますが、峰松医師によりますと、大人でも感染する可能性があり、重症化することもあるということです。
(愛泉会日南病院 峰松俊夫医師【ウイルス学】)
「免疫が弱い人は気管支炎や肺炎を起こしたりして、かなり重症化する方もいる。重症化すると脳炎を起こしたり、心肺機能低下を起こしたりもするので、決してなめる病気ではないというのは、記憶しておいてください」
また、「アデノウイルス」の大きな特徴が、新型コロナやインフルエンザと違い、「アルコール消毒がききにくい」ということ。
では、どのような対策が有効なのでしょうか。
(愛泉会日南病院 峰松俊夫医師【ウイルス学】)
「プール熱と言われてるぐらいなので、プールの塩素濃度でなかなか死なない。感染対策としては、石鹸で十分に洗浄して、ついたウイルスを希釈していくということが大事。患者さんと食器とかタオルを共有しないということが一番の対策になる」
季節外れの流行を見せるプール熱。正しい対策を心掛けたいものです。
(スタジオ)
峰松医師によりますと、感染経路には飛沫感染もあるということで、マスクも有効な対策だということです。
また、アデノウイルスはアルコール消毒が効きにくいということですが、タオルなどは家庭用漂白剤に30分以上つけて消毒するのは有効だということです。