国の登録有形文化財に指定され、老朽化のため通行止めになっている宮崎県日南市の「花峯橋」で、復元に向けた調査が進められていて、現場説明会が行われました。
橋の復元には、日南市の企業の元社長が市に寄付した8億円の基金も活用されます。
花峯橋は、昭和4年(1929年)に供用が始まった国内でも数少ない木造の橋で、飫肥杉の運搬に使用されるなど長年に渡って市民の生活を支えてきました。
橋の構造も貴重で「木造方杖橋(もくぞうほうづえばし)」として国の登録有形文化財に指定されています。
車社会になった昭和30年代以降、花峯橋は補強や修繕を繰り返してきましたが、老朽化のため、7年前に通行止めになっています。
(日南市生涯学習課文化財係 平原秀樹係長)
「当時の方杖橋としての形態を復元して、堀川運河の歴史の一つとしてそれが現代まで使われていたという事実もあるので、そういった運河の景観を一つ象徴する橋として後世に伝えていきたいなと」
花峯橋では17日から2日間にわたって現場説明会が行われ、調査担当者から地元の小学生や市の職員などに橋の歴史や構造などが説明されました。
(調査団体)
「たくさん木橋はあったが、今はコンクリートとかになっていて、唯一残っているのが花峯橋」
(児童)
「長い歴史があって、また、造り直されるのが楽しみ」
「数少ない(貴重な)橋があることがうれしい。また歩いたり、通ったりできるようになるのが楽しみ」
花峯橋の復元は、市が進める「油津の歴史文化遺産を活用したまちづくり計画」の事業の一つとして行われます。
総事業費は15億円で、日南市の戸村精肉本店の元社長、故・戸村サチ子さんが市に寄付した8億円の基金や国の補助事業などが活用されます。
(日南市 高橋 透 市長)
「戸村サチ子さんから8億円の寄付をいただいたことによる復元ですので、改めて戸村さんに感謝申し上げたい。市外県外に発信されて、注目された花峯橋になってほしい」
市は、再来年度の復元工事着工を目指すほか、花峯橋周辺の景観整備も進めるなどこれから堀川運河を中心とした水辺の憩いの場所づくりが始まります。