宮崎県新富町の航空自衛隊新田原基地に来年度配備予定の最新鋭ステルス戦闘機F35Bについて、先月、防衛省は当初の説明から一転して基地内で垂直着陸の訓練を行う方針を示しました。
これについて、宮崎県の河野知事は九州防衛局に対し、地元への丁寧な説明を行うことなどを直接申し入れました。

防衛省は、通常と比べて騒音が激しいF35Bの垂直着陸訓練について、これまで、緊急時を除き行わないと説明してきましたが、先月26日、一転して夜間も含めて常時実施する方針を示しました。

これについて、河野知事は、13日、県庁に九州防衛局の幹部を呼び、説明を求め、信太正志次長が垂直着陸訓練を行う理由を釈明。

信太次長は、訓練の場所として鹿児島県西之表市に建設中の馬毛島基地の完成が2029年度末にずれ込むことや、安全保障環境の厳しさが増していることを挙げました。

これに対し、河野知事は地元への丁寧な説明を行うことなどを申し入れました。

(宮崎県 河野俊嗣知事)
「安全保障環境が厳しさを増しているというのは前から言われていたことであり、まして、ますます厳しさを増していくという緊張感のもとに当初のような説明がいかがなものだったのか。今、説明をいただいたから『はい、そうですか』というふうに、すぐにそのまま認めるわけにはいかない」

(九州防衛局 信太正志次長)
「防衛省としては、地元の皆様に様々なご意見があるということは十分承知していて、今後住民説明会の開催等も含めまして、関係自治体の皆様等々、必要な調整をきちっと行った上で、真摯に対応させていただきたいと考えております」

また、新田原基地では、先月、基地内の井戸から、国の暫定目標値を大幅に超える濃度の有機フッ素化合物PFASが検出されましたが、県への報告は20日後となっていました。

これについて、九州防衛局の信太次長は「テロ対策などの観点から、井戸の位置などの情報を外部に示せない状況があり、内部の調整に時間を要した」と説明しました。

九州防衛局では、飲用以外に使用している井戸についても、今月10日に調査を実施していて、結果が判明次第、速やかに情報を提供したいとしています。

(宮崎県 河野俊嗣知事)
「一番強く今日申し上げたのは、地元と共存することの意味を、そういう状況にあってもしっかりと受け止めていただきたい。そこが重要なポイントだろうと思います」
(九州防衛局 信太正志次長)
「実際どのくらいの回数だったら時間帯の工夫で何かできるのか、そういったことも含めて、いろいろ地元のご意見を聞きながら検討していきたいと考えております」

九州防衛局は、地元への説明のため、来月3日に新富町で開かれる区長会に参加する方向で調整しているということです。