珠洲市の揚げ浜式塩田で労働者たちに歌い継がれてきた砂取節。珠洲市馬緤町では毎年、盆の時期に「砂取節祭り」が行われ住民たちに親しまれて来ましたが少子高齢化などの理由によりことしで幕を閉じました。半世紀以上にわたり続いた最後の祭りを取材しました。

炎天下のなか今、珠洲市馬緤町にある塩田では伝統の揚げ浜式製塩での塩づくりが最盛期を迎えています。かつては塩の産地として知られていた馬緤町。

砂取節祭り実行委員会 南方 治事務局長
「塩田に使う砂、砂を取りに行く、その時に歌ったと言われる」
塩づくりに欠かせないきめ細かな砂を遠方から小舟で運ぶ時に歌われていた作業歌が砂取節です。大切に受け継がれてきた砂取節を後世に伝えていくため馬緤町では50年ほど前から砂取節祭りが開かれてきました。しかし、この砂取節祭り。今年を最後に幕を閉じることになりました。

砂取節祭り実行委員会 南方 治事務局長
「高齢化、人手不足、後継者不足といいますか平均年齢70代です。若い人も居るが、馬緤に住んでいない。若い人たちが『我々にやらせて貰えないか』と話はありました、残念ながらそうはならなかった」
住民は
「珠洲市馬緤町にはいま高校3年生が3人、高校2年生が1人。それ以外、子どもがいない」
「正直寂しいですね・なくなると寂しい。時代と共に伝承とか伝えてきたが、若い人も限界が来ているのかな」
少子高齢化の波に新型コロナが追い打ちとなりことし最後の開催となった砂取節祭り。南方さんは祭りを盛大に終えたいと話しますこどもキリコ太鼓で幕をあけた祭り。午後8時過ぎ、いよいよ参加者全員で砂取節にあわせ輪踊りが始まります。

小さい子どもからお年寄りまで大勢の人が笑顔で踊る最後の砂取節祭り。踊りが終わると自然に大きな拍手が沸き起こりました。
砂取節の踊り子は・・・
「こんなに来て頂けるとは・やっぱり実感がないですけど最後と言われると寂しい気がする」
「踊れて良かったと思いました」

55年間という長い歴史に幕を下ろした砂取節祭り。砂取節祭り実行委員会の南方事務局長は「砂取節祭りが無くなっても、それは私たちの後の人たちが砂取節を続いてくれると信じています」と思いを話していました。