【40代が最多】心の病、最大の引き金は「上司からのパワハラ」。業種別では医療・福祉で顕著

仕事による強いストレスが原因で発病する精神障害に関する労災補償状況では、2024年度の支給決定件数が1,055件と、前年度から172件増加し、初めて1,000件を超えました。未遂を含む自殺の支給決定件数も88件で、前年度比9件の増加となりました。

業務災害に係る精神障害の請求、決定及び支給決定件数の推移

業種別では、「医療、福祉」が請求件数983件、支給決定件数270件と圧倒的に多く、中でも「社会保険・社会福祉・介護事業」が請求件数589件、支給決定件数152件で最多となっています。人手不足や重い責任が背景にあると推測されます。次いで「製造業」「卸売業、小売業」が上位を占めています。

「医療、福祉」で突出する精神障害の労災請求・決定件数

職種別では「専門的・技術的職業従事者」が請求件数1,030件、支給決定件数300件で最も多く、次いで「事務従事者」「サービス職業従事者」が続いています。

「専門的・技術的職業従事者」で突出する精神障害の労災請求・決定件数

年齢別では「40〜49歳」が請求件数1,041件、支給決定件数283件で最多となり、働き盛りの世代が精神的な負荷を抱えている現状が見て取れます。

精神障害の発病に関与した出来事(心理的負荷の強度を評価する事象)を見ると、支給決定件数において以下の項目が上位を占めています。
・「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」:224件
「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」:119件
「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」:108件

精神障害の発病に関与した出来事

特にパワーハラスメントが、精神障害の原因として突出して多いことが判明しました。これは、職場内の人間関係やハラスメント対策が喫緊の課題であることを示しています。