月80時間以上の残業が分岐点。脳・心臓疾患の労災、最多は50代・トラックドライバーなどの運輸業
業務による過重な負荷が原因とされる脳・心臓疾患に関する労災補償状況を見ると、2024年度の請求件数は1,030件で、前年度から7件増加しました。このうち、支給決定件数は241件で、前年度比25件の増加となっています。また、支給決定件数における死亡件数が67件に上り、前年度から9件増加しました。

業種別の傾向では、特に「運輸業、郵便業」での請求件数が213件、支給決定件数が88件と、いずれも最多となっています。これは、長距離・長時間労働が常態化しやすい「道路貨物運送業」が、請求件数155件、支給決定件数76件で最多であったことからも裏付けられます。 職種別では「輸送・機械運転従事者」が請求件数177件、支給決定件数75件で最多となり、業務の特性がリスクに直結している現状が浮き彫りになっています。


年齢層では、「50〜59歳」の請求件数が411件、支給決定件数が129件で最も多く、次いで「60歳以上」、「40〜49歳」が続きます。中高年層が脳・心臓疾患のリスクにさらされやすい状況が示されています。

また、時間外労働時間別に見ると、支給決定件数では、1か月評価期間で「100時間以上〜120時間未満」が18件と最も多く、2〜6か月平均評価期間では「80時間以上〜100時間未満」が63件で最も多くなっています。これは、いわゆる「過労死ライン」を超える時間外労働が、脳・心臓疾患の発症に深く関与していることを示唆しています。
