「気味の悪い謎の虫がいるんですが…」。昆虫館には、この虫に関する問い合わせが石川県内外から届くといいます。「『水玉模様があって…』と言われた場合は、大体シタベニハゴロモですね。シンジュやセンダンの木に群がっています。数が多すぎて、駆除するのは難しいのが実情でしょうか」

カメムシ目ビワハゴロモ科ではありますが、嫌なにおいを発するわけでなく、むしろ“甘ったるい”香りがするともいいます。

シタベニハゴロモの幼虫(石川県ふれあい昆虫館提供)

発見から15年

この昆虫が日本国内で確認されたのは2009年。石川県小松市の公園で「チョウのような昆虫がいる」との情報が寄せられ、調査の結果、周辺での定着が確認されました。2013年には福井県で発見されたほか、国内では大阪、愛知、岡山など分布エリアが拡大しています。

シタベニハゴロモを研究する石川県立自然史資料館の学芸員・嶋田敬介さんは警鐘を鳴らします。

「地元の福井県に帰省したときに、子どものころ遊んでいた山で、この昆虫がいてショックでした。こんなところまで広がっているのだなと。外来種によって日本の生物の多様性が失われないように、まずは分布などの現状を把握したいです」