公費解体は今、どこまで進んだのでしょうか。
前川由萌 記者)
申請があったのは、今月9日時点で1万2143棟。このうち、解体工事が完了したのは、147棟となっています。現状では1%に満たない状況ですので、今後、さらに加速させていく必要があります。
キャスター)
VTRでは登記されていない住宅も課題になっていましたが、打開策はないのでしょうか。
前川由萌 記者)
相続する人全員の同意を集めるのが難しい場合、申請者が「宣誓書」を出せば、1人で手続きを進められる例外規定もあり、環境省が自治体向けに作成したマニュアルにも紹介されています。ただ、県によりますと、この宣誓書方式を採用しているのは現状、輪島市だけです。というのも、解体が終わった後になって「勝手に壊された」などと相続の権利がある別の人とトラブルが起き、行政側が訴えられることが考えられるためです。そのため、公費解体を加速化させたいという思いはありつつも、自治体は慎重な姿勢を崩さないのが実情です。
キャスター)
手続きを簡単にしても、今度は行政がリスクを負わされるということですね。
前川由萌 記者)
これについて馳知事は、「訴訟のリスクを地元の首長に負わせるのはいかがなものか」としていて、政府が法整備すべきだと訴えています。地震からの復興へ大きな足掛かりとなる「公費解体」だけに、すべての責任の所在が地元の自治体に委ねられないような、国によるバックアップが急務となっています。