エアコンが止まった室内…老人ホームを襲う「命の危機」

断水と猛暑による影響は、単に生活の不便さにとどまらず、命の危機に直面する極限の事態をも引き起こしていた。
入所者12人を抱える鏡町にある老人ホーム「せんり鏡」では、地震の影響によって敷地内の電柱が倒壊。そのあおりを受けて施設全体が停電し、空調設備であるエアコンが一切使えなくなる事態に陥っていた。猛烈な日差しが照りつける中、施設内の温度はあっという間に上昇し、外と変わらない過酷な暑さとなっていた。国や県、そしてボランティアから送られてきた発電機や数台のスポットクーラーで、どうにか冷気を送っている状態だった。
12人の入所者のうち、一番若い2人が62歳で、残りのほとんどは80代から90代。平均年齢は86歳になる。体調管理が難しい高齢の入所者らは、手に持ったうちわや小型扇風機で暑さをしのぐしかなかった。入所者たちは無表情だった。暑さと疲労が、気力すらも奪っているようだった。
一刻を争う事態に、DMAT=災害派遣医療チームが現地へ駆けつけ、入所者一人ひとりの健康状態の確認にあたった。現場にいた太田昭二施設長の表情には、隠しきれない焦燥感と危機感がにじみ出ていた。太田施設長は詰まる思いを語った。
「氷が欲しい。今、夏なので、やっぱりお水と氷で氷水を皆さんに。できるだけ脱水を起こさないようにということが一番。きのうは2人の入所者が軽度の熱中症で病院に運ばれた」
高齢者の体力を奪い去る容赦ない熱気。施設内には常に死と隣り合わせの緊迫感が漂っていた。














