いざという時のために、地域の人たちにつながりを持ってほしい。そんな思いで防災活動に取り組む高校生たちがいます。このほど、地域の人たちと一緒に防災イベントを開催した彼女たちの活動を取材しました。
高知市の高知国際高校です。放課後に複数の生徒が集まって、なにかを作っています。
彼女たちは、防災についての活動を行う奉仕団体「Differant(ディフェラント)」のメンバーです。未来を担う子どもたちの思いを実現するための高知市の助成制度『こうちこどもファンド』の対象事業として2021年から活動しています。この日は週末に迫ったイベントの準備中。小さい子どもたちも気軽に参加してもらえるように、サポートメンバーとともにゲームに使う輪投げを作っていました。
「ちっちゃい子どもたちも来ると思うので将来大人になったときにいかせるような防災の情報を学べる機会だったらいいなと思います」
「防災に興味ある人もない人も、これから将来活躍していく人たちに防災イベントに来てもらって(防災の)力を身につけて帰ってほしい」
Differantのメンバーの1人、グローバル科1年の曽根彩花さんは、一人でも多くの人に防災について考えてほしいと活動しています。
(Differant 曽根彩花さん)
「イベントに来てくださった方同士のコミュニティを作ってもらって実際にそのコミュニティをいかしてコミュニケーションを図ってもらったり、顔見知りになってるということをいかして災害時に協力していただくなど実際災害が起こった時に活用してもらいたい」
現在のメンバーは8人。サポートメンバーとともに、連日準備を進めます。
そして迎えたイベントの日。2日目のこの日は天気にも恵まれ、スタートと同時に多くの人が訪れました。
イベントブースではさまざまな世代の人たちが一緒になって盛り上がっています。
放課後、みんなで考え、手作りしたゲームが、訪れた人たちに思いのほか好評のようです。
(親子で参加)
「楽しかった」
「すごくいいですよね。考えておくのと考えてないのと全然違うと思うので、しかも高校生、これから人生も長いですし若い方なので、地域で一人ひとりが自分で考えることを意識するのが一番いいんだろうなと思います」
こちらは避難所運営ゲーム=HUG(ハグ)ゲームの体験コーナーです。HUGゲームとは東日本大震災をきっかけに静岡県が開発した図上訓練で、避難してきた人たちの年齢やそれぞれの事情が書かれたカードを避難所に見立てた平面図に配置したり、避難所で起こる出来事にどう対応していくかを考えたりするゲームです。
(家族で参加)
「いろんな事情を抱えて来てるので個々に対応していたら場所も足りなくなるし、どんどん問題が勃発してくる感じが難しかったです。実際に自分の地区で起こったら自分たちが運営しないといけないので大変勉強になりました」
「避難する場所(の確認)とか家具の固定をやってたらいいと思いました」
こちらは地域の防災対策を考える高知大学の『防災すけっと隊』のメンバーです。
(高知大学 防災すけっと隊のメンバー)
「どんどん避難者の方が来られるのでいちいち考えてたら対応できなくなるので早く対応するのが難しかった」
「避難してきた側は自分の要望を全部通してもらいたいと思うが、お互いが折り合うことが大事だなと思った」
地域の住民だけでなく、日ごろから高い防災意識を持った大学生や、幡多地域で同じように防災活動に取り組む中村高校の生徒たちも参加して、交流を深めていました。
(Differant 曽根彩花さん)
「支援する側とされる側に分けることが多くなってしまうと思うんですけど、みんな同じ被災者で、みんなが一緒に協力して運営、開設する考え方を身につけてもらえればうれしいです」
「楽しかったとか新しいことを学べたという声をいただいたのでこのイベントを開催する意味があったと思いますし、〇×クイズでは初めての方同士でのコミュニケーションもあったのでそこで顔見知りになって私たちが目標としてる“コミュニティをつくる”ことにつながったのでは」
手ごたえを感じたDifferantのメンバーたち。大切な命を守るための活動をこれからも続けていきます。