タローはその後、群れでの順位を上げようとボスのチンパンジーに戦いを挑み続けましたが、ボスになることはありませんでした。
人間に育てられ、交尾を学習する機会がなかったため、ボスとしての素質が認められなかったのです。
そして、日本に来てから14年後の1978年、高知にやってくることになりました。
当時、高知城にあった高知市立動物園ではタローと同じように、船乗りに連れてこられたメスのチンパンジー「ミミ」を飼育していて、2頭で静かに暮らせば交尾ができるかもしれないと考えられたのです。この時から、タローの高知での生活が始まりました。