平和への願いを込めて戦没者の遺族も制作に関わった木像が完成し、高知市の神社に奉納されました。

奉納されたのは伝説上の生き物で平和の象徴とされる麒麟を象った「麒麟像」です。高知市薫的神社が戦没者を慰霊しようと2023年に香南市に工房を構える吉田安成(よしだやすまさ)さんに制作を依頼しました。着工式では太平洋戦争の戦没者の遺族がノミ入れをして制作がはじまり、およそ2年かけて完成しました。

吉田さんによりますと、麒麟像は通常使われるヒノキではなく硬いケヤキ材が使われていて、制作の時間がかかった分戦没者を想い力を込めて丹念に彫り上げたということです。

7日に行われた奉納祭では完成した麒麟像の美しく迫力のある姿に参加者は驚きの表情で眺めていました。麒麟像が奉納されたあと、戦没者遺族の16人は戦争で犠牲となった人々の冥福を祈りました。

(高知県遺族会 大石綏子 会長)
「終戦80年という節目にあたって、高知から麒麟像が平和の架空の動物が世界中に羽ばたいてほしいと思った」

(薫的神社 中地英彰 宮司)
「平和を願うひとつの形として表した。芸術的な作品と祈りという部分で末永くとどめたい」

麒麟像は一般にも公開されていて、薫的神社は「多くの人が平和の尊さについて考える場所になれば」と話しています。