高知大学に通う男子大学生がフリースケートの世界大会で2位になりました。目指すのは、もちろん世界一。ただ、さらに別の夢も追いかけているんです。

風を切ってスイスイと滑り、ボードを体の一部かのように思いのままに操ります。
これは手のひらサイズのボードに乗り自由自在に滑る、「フリースケート」というスポーツです。

(中村昌太郎さん)
「フリースケートの魅力で最初に思いつくのは『自由度の高さ』ですね。足を固定しないスポーツなので、足を離したりフリースケート自体を回したりなど、他にはない自由度が特に魅力かなと思っています」

その自由度の高さに小学生のころから虜になっているのが、高知大学3年生の中村昌太郎さん。出身は、広島県。小学6年生のときに、フリースケートを始めました。中学生のころには1日、7時間以上も練習していたといいます。足の動かし方をマスターすれば誰でも一人で滑ることができるというフリースケート。

(中村昌太郎さん)
「片方ずつゆっくり乗ります。上半身のひねりと足の動きを利用して、足をくねくねさせるようにしてこぎます」

上級者になると滑りながら足を入れ替えたり回転したりすることもできるんです。中村さんがこれまでに習得した技の数は。

(中村昌太郎さん)
「正確に数えたことはないんですけど、だいたい4、50くらいはできます」

一番の大技はこちら!滑りながら・・・ジャンプ!地面に置いたもう一つのボードに乗り移るという技です!お見事!

(中村昌太郎さん)
「一見乗り換えるだけに見えるかもしれないですが、どのタイミングで飛べばいいかとか、飛んだあとにどうバランスをとるかというのがむずかしい」

中村さんは2025年5月、茨城県で開かれた世界大会に出場。5種目中3種目にエントリーし、30メートルのタイムを競う「スプリント」という種目で2位に輝きました。

(中村昌太郎さん)
「技ももちろんなんですが、ジャンプやフリースケートを走る速さなどを特に練習していて、それが通用してすごくよかったなと感じました」

中村さんスプリントの記録は6.09秒。1位の選手とはわずか0.16秒の差でした。

(中村昌太郎さん)
「悔しいと感じましたね。あとちょっとスタートが早ければとか」
(Q.次の世界大会で狙うのは?)
「もちろん優勝を狙いたいです」

そんな中村さんの普段の様子を取材させてもらいました。

(中村さん)
「高知大学医学部医学科、中村昌太郎です。今回の研究は漢方薬処方をめぐる不適切処方に関する研究です」

実は、医学部の学生。将来は生まれ育った広島で地域医療を支える医師になりたいという夢を持っています。

(中村昌太郎さん)
「医師になって、地域の医療を支える人材になりたいとともに、フリースケートを広めて、こういうスポーツもあるんだよと、知ってもらえるように活動していきたいです」

医師を目指して学ぶ傍ら、フリースケートの技術も磨く中村さんに、同じ研究室の学生や教授は。

「知らなかったので世界大会に行っていたことは。びっくりでした。(両立は)自分じゃとてもじゃないけどできない。長らく一生懸命やっていて尊敬です」

「準備がすごく周到ですよね。それはスケートにも当てはまるんじゃないでしょうか」

『大好きなフリースケートをもっと知ってもらいたい』。世界一フリースケートがうまい医師になるために、中村さんはきょうも技を磨き続けます。

(中村昌太郎さん)
「まだ(フリースケートを)知らない人も多いと思うので、まずはより多くの人に知ってもらうと同時に、フリースケートをする人口が増えて、スケートボードのような、メジャーなスポーツになってくれることを願っています」