母親は「ちょっと過保護だった」
続く証人尋問。黒いスーツ姿で証言台に立ったのは、宗武被告の娘・優香さんだ。刑務官に挟まれて着席している宗武被告は、入廷する優香さんに視線を送っていたが、しばらくすると目を伏せた。
弁護士が、宗武被告の人柄を問う。
「口数は多くない、仕事には真面目な性格」
母・佳寿美さんについては。
「心配性で、ちょっと過保護だった。責任感が強く…。プライドが高く、完璧主義だった。ずっと面倒を見てくれる感じで」
妻・佳寿美さんと娘・優香さんの3人家族だった宗武被告。優香さんは、高知の大学に進学し一人暮らしをしていて、事件当時、医療業界への就職を目指す4年生だった。
臨床検査技師として、地元の総合病院で働いていた母・佳寿美さんは「医療業界にはコネがないと入りにくい」と考え、勤務先の院長に手紙を出すなどして、優香さんの就活を後押ししていた。
そして、家族関係について聞かれた優香さんは。
「昔は、旅行に行くなど仲が良かったと思う」
「家事は主に母がしていた」
「母に心臓の病気があることは知っていたが、精神的な病気については知らなかった。通院していることも知らなかったし、病名も知らなかった」