4月1日からスタートした、自転車ヘルメットの努力義務化。9年前、自転車で帰宅中の息子を事故で失ったことをきっかけに、講演活動などを続けている父親は、ヘルメットが日常となることを願っています。

愛媛県松山市に住む渡邉明弘さん(54)。
2014年、当時高校1年生だった息子の大地さんを、交通事故で失いました。

自転車で帰宅中、横断歩道を渡っていたときにトラックにはねられ、頭などを強く打ち、亡くなったのです。

当時、愛媛県内の高校生のヘルメット着用は、義務化前でした。

カメラが趣味だった息子の残した写真を通して、渡邉さんは、命の尊さや遺族の思いを伝える活動を続けています。

大地さんの事故がきっかけの一つとなり、その翌年の2015年、愛媛の県立高校で通学時のヘルメット着用が義務化されました。

ただ当初、渡邉さんは「子ども達に負担をかけたのでは」と義務化に反対だったといいます。

それでも、ヘルメットにより、自転車に乗っていて事故に遭った高校生の命が助かったというケースに触れたことで、気持ちにも変化が…

渡邉明弘さん
「(義務化に)反対だったですけど、“あり”だなって」

そして道路交通法が改正され、4月1日から全国で自転車のヘルメット着用が努力義務となりました。

渡邉明弘さん
「努力義務か…って思ったんですよ。弱いな…」

中高生の着用率がほぼ100%なのに対し、それ以外の世代にはまだ浸透していないのが現状です。

4月5日、松山市内の交差点を30分、観測しました。自転車76台のうちヘルメットをかぶっていたのは25台。着用率は3割程にとどまっています。

ヘルメットをかぶっている自転車の人は…?

「最初は抵抗あったんですけど、やはり身近な人で転倒して頭を打ったと聞いたので。かぶり始めたら全然抵抗ない」
「努力義務を機会に自分の身を守るというのがあるから、かぶろうと思いましたね」

一方、近場の時はかぶらないなど、状況によって使いわけをするという人もいました。

渡邉さんは、大人のヘルメット着用を願います。

渡邉明弘さん
「子どもにどんな姿を見せたいですか。子どもにかぶれかぶれって言うんだったら、自分たちがかぶるべき。子どもたちは自分が大人になったときに同じような行動をするはずなんです。大人が今、頑張っていかないと、将来、結局同じ結果が続いていくような気がする」

「努力義務」はあくまで個人の判断…。

「自転車にはヘルメット」が日常になることで、多くの命が守られることは言うまでもありません。