おととし、愛媛県松山市のコインランドリーで、女性を包丁で刺し殺害した罪に問われている男の裁判で、遺族が手紙で「今でも自分を責め続けている」と心情を打ち明けました。また、検察は懲役22年を求刑しました。
松山市河野中須賀の無職・中川晃成被告(23)は、おととし2月、近所のコインランドリーで中川千代子さん(当時71)の背中と胸を包丁で刺し殺害したとして、殺人などの罪に問われています。
24日の裁判ではまず、遺族の代理人が夫と長男の手紙を読み上げました。
このうち長男は…
「本当は私がコインランドリーに洗濯に行くはずだったのですが、別の用事ができて行けなくなったので母にお願いしたところ、快く引き受けてくれて『行ってくるね』と元気に声をかけて出ていったのです。どうして自分が行かなかったのか、そうすれば母はこんな目に遭わなくてよかったのにと、今でも自分を責め続けています」
一方、夫は…
「2年経った今でも、妻を失った悲しみや寂しさは全く癒えることはありません。今でも信じられない気持ちです」
また夫と長男ともに「命をもって罪を償ってほしい」と厳罰を求めました。
その後の論告求刑で、検察側は「被告の精神障害の影響は限定的」とした上で「無差別的な犯行で、家以外の居場所を求めて事件を起こした動機は極めて自己中心的」などとして、懲役22年を求刑しました。
一方、弁護側は「事件当時は精神障害の影響を強く受けている」などとあらためて主張し、懲役10年が相当としました。
判決は1月31日に言い渡される予定です。